Project/Area Number |
17023005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坪川 宏 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30227467)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥4,100,000 (Direct Cost: ¥4,100,000)
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Keywords | 海馬 / 樹状突起 / backpropagation / カノビノイド / シナプス / 可塑性 / パッチクランプ / 情報処理 |
Research Abstract |
神経回路の機能を調べてゆく上では、構成素子である個々のニューロンにおける情報処理のしくみを正しく理解することが必要不可欠である。本研究は、中枢ニューロンにおいて樹状突起を逆伝播する活動電位や樹状突起局所的なNa^+スパイク・Ca^<2+>スパイクの発生機序と、シナプス伝達や細胞内シグナル伝達系によるそれらの調節機構を解明し、樹状突起活動電位の生理学的役割を明らかにすることを目指している。 近年、海馬錐体細胞などでは、シナプス後部の脱分極や代謝型グルタミン酸受容体の活性化により内因性カナビノイドが放出され、抑制性シナプス前部のカナビノイド受容体の活性化により伝達物質の放出が一過性に抑制される現象(DSI)が報告された。抑制性シナプスのシナプス後部に生理的な脱分極をもたらすことができるのは樹状突起でのスパイク電位のみと考えられたため、内因性カナビノイドは、生理的には活動電位の逆行性伝播によって放出されている可能性がある。これを検証してゆくため、今年度は、まず海馬錐体細胞の樹状突起における逆行性活動電位がDSIを引き起こすかどうか検討した。 その結果、1)錐体細胞の連続発火の後に抑制性シナプス電位の振幅が一過性に減弱する場合があること、2)この減弱はカナビノイド受容体アンタゴニストを投与しても消失せず、少なくともプレシナプス側のカナビノイド依存性の成分と、K^+チャネルやCa^<2+>チャネルの開口によるポストシナプス側のコンダクタンス増加に依存する成分の二つが関与すること、3)カナビノイド依存性のIPSCの減弱は、細胞の発火を抑えると樹状突起の局所スパイクが発生しても起こらないこと、等が判明した。 これらの結果は、CA1野錐体細胞におけるDSIの誘発には、樹状突起における局所的な脱分極だけでは不十分で、細胞体の発火ならびに活動電位が細胞体付近より逆行性に伝播することが必要であることを示唆している。
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