ネプリライシンの活性低下に伴うシナプス機能障害と発現調節機構の解析
Project/Area Number |
17025046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩田 修永 独立行政法人理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 副チームリーダー (70246213)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥4,600,000 (Direct Cost: ¥4,600,000)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド / ネプリライシン / オリゴマー / 神経可塑性 / 学習・記憶 / ソマトスタチン / G蛋白質共役型受容体 |
Research Abstract |
ネプリライシンは活性部位が細胞外に配向する膜貫通型蛋白質であり、主として神経細胞のプレシナプス部位に局在するアミロイドβペプチド(Aβ)分解酵素である。また、大脳皮質・海馬における選択的なネプリライシンの発現低下が加齢依存的に起こり、さらに孤発性AD患者脳においてもこの選択的な低下が認められることは、分解システムの機能低下が脳老化およびAD発症過程におけるAβ蓄積に深く関わることを示唆する。本研究ではネプリライシン活性の低下による神経細胞の機能障害の蓋然性について探ると共に、このネプリライシン活性を制御してADの予防や治療へ応用することを目指した。前者については、家族性アルツハイマー病変異を有するアミロイド前駆体蛋白質トランスジェニックマウスとネプリライシン欠損マウスを交配したマウスを作成して、生化学的および電気生理学的手法や免疫電顕技術を用い、さらには記憶・学習能力を試験する一連の行動解析により、プレシナプスにおけるオリゴマー型Aβの増加によって神経可塑性の異常と共にこの掛け合わせマウスの学習・記憶能力が顕著に低下することを見出した。後者については脳内ネプリライシン活性を制御する因子としてソマトスタチンを同定した。ソマトスタチンレセプターはG蛋白質共役型受容体であることから、非ペプチド性のレセプターアゴニストを利用して、将来的に脳内Aβ含量を薬理学的に制御できる可能性が期待される。一方、脳内ソマトスタチンレベルがAD脳で低下することや、ヒトや霊長類の脳では加齢と共に低下することも報告されている。従って、加齢に伴うソマトスタチンの低下がネプリライシン活性の減弱を通してAβレベルを上昇させ、ソマトスタチン量やネプリライシン活性の低下速度の個人差がAD発症を規定し、このことが孤発性AD発症の分子メカニズムを部分的に説明する可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(20 results)