Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
オートファジーは真核細胞に普遍的な細胞内分解システムである。ユビキチン・プロテアソーム系が選択的タンパク質分解を担っているのに対し、オートファジーはリソソームを分解の場とする非特異的なバルク分解システムである。オートファジーは絶食後や出生直後などの栄養飢餓時に顕著に誘導されるが、これは細胞質の一部を過剰に分解して栄養素であるアミノ酸を内因的に供給するためと理解される。一方で、必ずしも顕著に誘導されなくとも、基底レベルのオートファジーも細胞内浄化という点では重要な働きをしていると考えられる。私たちの作製したオートファジーに必須なAtg5遺伝子欠損マウスは栄養不良などの問題から生直後致死となるため、今回は神経特異的Atg5ノックアウトマウスを作製し、神経細胞における基底レベルのオートファジーの意義を解析した。このマウスは生後飢餓を無事乗り越えるが、4週頃より歩行障害などの運動機能異常を呈するようになり、Clasping reflexなどの異常反射も観察された。さらに3ヶ月齢では全身の振戦も出現した。病理組織学的には、小脳プルキンエ細胞の脱落や大脳広範にわたる軸索の腫大、大脳皮質の錐体細胞の部分的脱落、広範囲の神経細胞内にユビキチン陽性封入体が観察された。以上のことから、誘導されるオートファジーは飢餓適応として重要であるが、基底レベルの恒常的オートファジーは生理的な状態での細胞内品質管理機構として、特に神経細胞では変性を抑制する重要な細胞機能であると考えられる。
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