Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
オートファジーはリソソームを分解の場とする非特異的なバルク分解システムである。昨年度に続き、基底レベルのオートファジーの細胞内浄化作用について検討した。オートファゴソーム形成に必須なAtg5を全身で欠損するマウスは出生直後に深刻な栄養不良に陥り致死となるが、このマウスは出生時にすでに肝や一部の神経細胞内にユビキチン陽性封入体が蓄積していることが判明した。そこでより進んだステージの解析の目的に、神経特異的Atg5ノックアウトマウスを作製した。このマウスは生直後の栄養飢餓には問題なく耐えることができるが、生後4週目より進行性の運動障害(失調性歩行やfoot clasping reflexなど)を呈するようになった。病理組織学的解析では神経系広範囲にわたる神経細胞内封入体形成、軸索腫大、および大脳皮質錐体細胞や小脳プルキンエ細胞の脱落を認めた。オートファジーが欠損した際に、どのような形状のユビキチン化タンパク質が蓄積してくるかを検討した。まず全身の組織で約30%がノックアウトとなるようなモザイクマウスの肝をユビキチン抗体で染色したところ、KO細胞で蓄積しているのは凝集体だけではなく、細胞質全体のユビキチン化タンパク質であることが判明した。さらに成獣の肝細胞で誘導的にAtg5遺伝子をノックアウトする実験を行ったところ、最初に現れる異常は細胞質全体のユビキチン化タンパク質であり、遅れて凝集体が出現することがわかった。つまり、オートファジーの直接の基質は凝集体そのものではなく、むしろ可溶性のタンパク質であると考えられた。以上のことから、誘導されるオートファジーは飢餓適応として重要であるが、基底レベルの恒常的オートファジーは生理的な状態での細胞内全体の品質管理機構として、特に神経細胞や肝細胞では変性を抑制する重要な細胞機能であると考えられた。
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