Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
植物の光合成の進化は、遺伝子または蛋白質の観点から議論されているが、我々は光合成反応中心にのみ存在する鍵成分(葉緑素やキノン)の化学構造から議論できるのではないか考え研究を進めた。 光合成の反応中心は、電子伝達成分に鉄・イオウセンターを有する系1型反応中心と2個のキノンを直列に配した系2型反応中心とに大別されてきた。本研究では、前者の反応中心を対象とした。具体的には、(1)ヘリオバクテリア、(2)グロエオバクター、(3)シアノバクテリア、(4)アカリオクロリスを実験材料とした。遺伝子レベルでの解析では、この順で生物進化が進行したと見なされている。このうち、(1)のみが非酸素発生型の光合成バクテリアで、他は酸素発生をする藻類である。 先ず、初発電荷分離体だが、(1)バクテリオクロロフィル(BChl) g',(2)クロロフィル(Chl)a',(3)Chl a',(4)Chl d'であった。すなわち、初発電荷分離体は、通常のChl aではない。光合成バクテリアから最初の酸素発生型植物に生物進化する際((1)→(2))に、BChl g'→Chl a'なる化学進化が起こったことになる。また、ホヤの体内に共生するため、(3)→(4)でChl a'→Chl d'なる化学進化が起こった。 次に、一次電子受容体(A_0)は、(1)Chl a,(2)Ch1 a,(3)Chl a,(4)Chl aと、驚くべきことに全く化学進化していないことを明らかにした。 最後に、二次電子受容体(A_1)の分析を行ったところ、(1)メナキノン(MQ),(2)MQ,(3)フィロキノン(PhQ),(4)PhQであった。 以上をまとめると、(1)→(2):初発電荷分離体の化学進化(BChl g'→Chl a')、(2)→(3):A_1の化学進化(MQ→PhQ)、(3)→(4):初発電荷分離体の化学進化(Chl a'→Chl d')が起こったことになる。すなわち、電子伝達成分の化学進化は、生物進化の過程で、複数同時には起こらず、一つずつ起こったことを初めて明らかにした。
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