Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本研究の目標は、有機複合結晶の反応による分子構造、結晶構造の変化と、ナノレベルでの結晶形態変化との関連性を明らかにして、新たな視点で有機結晶の構造制御と反応設計を行うことであった。研究の結果、単結晶-単結晶反応の形態変化メカニズムが解明できた。1.単結晶-単結晶エナンチオ選沢的光環化と形態変化カルボン酸を導入したイソプロピルベンゾフェノン誘導体と、キラルまたはアキラルなアミンから成る数種類のキラル塩結晶の光照射は、高エナンチオ選択的光環化を起こし単結晶状態を維持して進行する。結晶中、二分子間でヘリックス構造が形成されているのが特徴である。微結晶に光照射し、IR測定により反応率を求め、反応に伴う結晶の形態変化を原子間力顕微鏡で観察した。その結果、反応の進行とともに結晶表面に数十ナノメータの凹凸が現われ、反応が終結すると平らな表面に戻る結晶と、反応中、結晶形態は全く変化しない結晶に分けられた。反応前後で単位格子の各軸の長さが数%延び縮みしても、体積が変らない、すなわち密度が同じ場合は、角部ひずみが相殺されて結晶形態は全く変化せずに反応するが、密度が数%でも異なる場合は、内部歪みによって表面に凹凸が生じるものと考えられる。2.微結晶中でのジアステレオ特異的光環化と形態変化キラルなアミド基を導入したイソプロピルベンゾフェノン誘導体の結晶は、ジアステレオ特異的光環化を起こした。出発物と再結晶した生成物の結晶構造が異なること、さらにはバルク結晶に光照射すると割れを生じたことから、当初、単結晶-単結晶ではないと考えられた。しかし、微結晶に光照射したときは形態が全く変化せずに反応が完結したので、単結晶-単結晶反応であることが示唆された。このため、注意深く光照射を行った結果、単結晶-単結晶反応であることがわかった。3.複合結晶の光脱炭酸反応に伴う結晶形態変化フタロイルアミノ酸とアザ芳香環化合物との複合結晶は、光脱炭酸を起こし、反応の進行とともに結晶は崩壊する。単結晶を用いて形態変化を観察したところ、色が変化し、透明さが失われるとともに表面に歪みが生じ、最終的には無定形となった。この変化を単結晶X線構造解析で追跡すると、廻折スポットにデバイリングが現われ、多結晶化が確認された。
All 2006 2005
All Journal Article (6 results) Book (2 results)
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10015715641