Project/Area Number |
17036008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加納 博文 千葉大学, 理学部, 助教授 (60334166)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 有機金属錯体 / 気体吸着 / 潜在細孔 / クラスレート / 協同効果 / ゲート吸着 / 2次元格子 |
Research Abstract |
加熱処理後の熱分析と元素分析から、[Cu(bpy)(BF_4)_2](bpy)結晶を真空加熱処理で得られる物質の化学組成が[Cu(bpy)_2(BF_4)_2]であることを確認した。[Cu(bpy)_2(BF_4)_2]のXRPDパターンをもとにモデル構造を決定した。その構造は、2次元の層構造が半周期ずれた形で積層しており、Cu^<2+>に配位したBF_4^-が上下の層のbpyと相互作用することによってピラーの役割を果たしていると考えられる。Cu^<2+>周りの、bpyの窒素4個とBF_4^-イオンのF原子2個で配位した構造は、EXAFSの測定により確かめられた。同様にCO_2とのクラスレート生成後のXRPDからモデル構造を推定した。この場合、層間隔がCO_2吸着前より0.05mm拡張した構造に変化する。また、bpy分子のピリジン環も回転し、上下方向においても分子の通ることができるチャネルが形成される。このように、CO_2圧力が吸着ゲート圧より高くなると層間距離が拡張し、潜在細孔が外部と通じるようになって、一挙にCO_2分子が入り込みクラスレートを形成する。クラスレートは、ある程度以上のCO_2分圧では安定に存在するが、脱着ゲート圧以下になると結晶内のCO_2分子が一挙に抜け出し、層間隔が縮小し元の構造に戻ると考えられる。 この反応は二状態間の可逆平衡モデルで記述できる。異なる温度におけるCO_2吸着等温線から、飽和吸着量は温度が変化してもほとんど変化せず、LPC中の銅原子1個当たり2分子のCO_2が吸着することがわかった。温度が高くなるにつれてゲート吸着圧およびゲート脱着圧はともに高圧側に移行する。熱力学的解析の結果、クラスター生成のエンタルピー変化として、吸着側から-23.9kJ/mol、脱着側から-23.2kJ/molが得られた。さらに吸着等温線の吸着ゲート圧での立ち上がりや脱着ゲート圧での急激な落ち込みは、クラスレート形成の協同効果を表す。 このように、LPCのCO_2吸着に関するナノ分子バルブ現象は、結晶の構造変化とクラスレート生成反応に基づくものであり、そのエンタルピー変化は、昇華過程に匹敵するものであり、協同効果により高度に安定な構造を形成すると考えられる。
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