有機高分子のナノ空間内における金属触媒の構築と有機合成反応への応用
Project/Area Number |
17036010
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 正晴 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (00376592)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 修 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (50195781)
|
Project Period (FY) |
2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Keywords | 高分子カルセランド化法 / 配位空間 / ホスフィン導入ポリマー / パラジウム触媒 / 鈴木-宮浦カップリング反応 / 部分水素化反応 / 2価パラジウム塩 |
Research Abstract |
既に我々は、高分子カルセランド化(PI)法と呼んでいる独自の手法により、金属触媒を有機高分子内に固定化することに成功している。これは、コポリマーの溶液に触媒前駆体を加えた後貧溶媒を加えてマイクロカプセル化、さらに高分子を架橋させ構造を安定化する手法である。本研究では、「有機高分子の構築する柔軟な配位空間を活用する」ことに着目し、このPI法を更に展開させることを検討した。 まず、触媒の活性化および金属の漏出防止を期待して、原料となるコポリマーにホスフィンを導入することを検討した。その結果、ホスフィン導入ポリマーからPI法により調製したパラジウム触媒(P-PI Pd)が、鈴木-宮浦カップリング反応において非常に高活性であることが分かった。この触媒は、外部からの配位子の添加を必要としないばかりでなく、回収・再使用が可能であった。興味深いことに、ホスフィンを導入していない従来のPI Pd触媒や、それに外部からホスフィンを添加した場合に比べ、格段に高い触媒活性を有していることが見出された。これは、高分子の構築する配位空間の特性が発現しているためと推定される。また、高分子内のボスフィンの特異な効果を期待して、本触媒をアルキンの部分水素化反応に適用した。その結果、良好な選択性でアルケンが得られることが分かった。通常、ホスフィンの添加は本反応を阻害し、無添加では過剰水素化が進行するので、ここでも本触媒の特性が発現していると考えられる。 さて、これまでのPI Pd触媒は、Pd(PPh_3)_4を原料に合成しており、PPh_3は配位子交換により排出される。従って、この高価なホスフィン錯体に代わり、安価なPd(II)塩を用いることができれば、より実用的な触媒調製法となる。そこで種々調製法を検討したところ、Pd(NO_3)_2と2当量のNaOAcを用いて加熱することにより容易にPI Pd触媒が合成できることを見出した。特に、系内で発生していると考えられるNaNO_3がPdの担持量を向上させる上で重要であることが分かった。これは他の金属の固定化においても有用な指針となることが期待される。 一方、Sc触媒やRu触媒もPI法により固定化することができ、それぞれがLewis触媒反応、アルコールやスルフィドの酸化反応に高活性を示すことを見出した。PI Ru触媒はカラムを用いるフロー反応系にも有効である。現在PI法による触媒固定化マイクロチャネルリアクターへの展開も含めて、触媒反応プロセスの開発も行っている。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)