動的らせん高分子を利用したらせん状不斉配位空間の構築と応用
Project/Area Number |
17036021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
前田 勝浩 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90303669)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ポリイソシアニド / らせん / 記憶 / 化学修飾 / 誘起円二色性 / 液晶 / 光学活性 / らせん誘起 |
Research Abstract |
申請者らはこれまでに、光学不活性なポリ(4-カルボキシフェニルイソシアニド)のナトリウム塩(poly-1-Na)に光学活性なアミノアルコール等の存在下、水中で誘起された一方向巻きのらせん構造が、記憶として保持可能であることを見い出している。本研究では、らせん構造を記憶として保持したpoly-1-Na(h-poly-1-Na)の側鎖に、らせん構造を保持したまま様々の機能性置換基を導入可能かどうかについて検討を行なった。また、そのらせん構造の熱安定性についても詳細に調べた。トリアジン誘導体を縮合剤に用いて、h-poly-1-Naとアキラルなアミノ化合物とを水中で反応させたところ、高い導入率でアミド結合を介して側鎖に様々の置換基を導入することができた。これらのポリマーの円二色性(CD)スペクトルを測定したところ、いずれのポリマーもh-poly-1-Naと同程度のCDを示したことから、h-poly-1-Naは、らせん構造を保持したまま側鎖の修飾が可能であることが明らかになった。これらのポリマーのらせん構造の熱安定性を調べるために、高温下でのCD強度の経時変化を測定した結果、側鎖にアミド結合を介して置換基を導入することにより、らせん構造を安定化できることがわかった。また、二級のアミド基を有するポリマーは、DMF中、100℃で加熱した後もそのCD強度はわずかに減少するのみであり、30℃にすると再びもとの強度にまで回復した。一方、三級のアミド結合を介して置換基を導入したポリマーは、DMF中で加熱することによりそのCD強度は大きく減少した。したがって、隣接した側鎖間の協同的な分子内水素結合の形成がらせん構造の安定化に重要な役割を果たしているものと考えられる。さらに、化学修飾したポリマーのいくつかが、濃厚水溶液中においてその剛直な主鎖構造に由来するライオトロピックな液晶を形成し、コレステリック液晶に特徴的な縞模様を示すことを見い出した。これらをテンプレート高分子として用い、主鎖のイミノメチレン基の窒素上または側鎖に様々な金属を配位させることにより、らせんキラリティー以外には全く不斉要素のない、らせん状不斉ナノ空間の構築が可能になるものと考えられるが、液晶場ではそれらがさらに自己組織的にキラルな超分子集合体を形成するので、様々な有機合成反応の不斉反応場および不斉識別材料としての応用に期待が持たれる。
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Report
(1 results)
Research Products
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