スピンクロスオーバー錯体を利用した配位空間の能動的制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
17036031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 元裕 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (00212093)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 配位空間 / 動的無秩序 / スピンクロスオーバー錯体 / Mn(III)錯体 / 動的Jahn-Teller効果 / 誘電分散 / 高次相転移 / 協同的Jahn-Teller現象 |
Research Abstract |
配位空間は、その機能修飾された内部空間に小分子を収容できることから注目を集めており、この配位空間の機能や収容能を外場によって制御しようという試みがいろいろ検討されている。その多くは配位空間の静的な空孔サイズや形状を外場誘起構造変化によって変化させることを目指している。われわれは、配位空間の骨格構造そのものではなく、そのダイナミクスを外場によって制御するという観点から、配位空間を構成する要素として磁場による二状態間の切替が可能なMn(III)スピンクロスオーバー錯体に着目し、まず単核Mn(III)錯体の動的挙動を詳細に調べることを本研究における目的とした。スピンクロスオーバー錯体[Mn(taa)]については既にわれわれが複素誘電率から動的挙動を明らかにしているので、今回は[Mn(dmhp)_3]12H_2Oおよび[Mn(urea)_6](ClO_4)_3を対象として誘電測定ならびに磁気測定を行った。 dmhp錯体、urea錯体ともにX線構造解析から、室温では分子が3回対称をもち、動的無秩序が存在すると報告されているが、これらの誘電応答は全く異なる挙動を示した。dmhp錯体では、動的Jahn-Teller効果により双極子モーメントの分子軸に垂直な成分が熱活性化型の擬回転運動をしていることを反映して、冷却とともに誘電率が増大する典型的なCurie的挙動が見られた。さらに20K以下の低温で、この擬回転運動の凍結に対応する誘電分散が観測された。ただし、この緩和は非Debye的な様相を示し、一種のクラスターグラスとなっていることが明らかとなった。 一方、urea錯体においては、冷却とともにわずかに誘電率が減少するという、分子が動的無秩序状態にあるとは考えがたい結果となった。そこで熱容量を測定したところ、新たに310Kに高次相転移が見いだされた。この転移は3つの安定配向をホッピングしているJahn-Teller歪みが配向を揃えて秩序化する、協同的Jahn-Teller現象と考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)