ナノ内部磁場空間を利用した絶対不斉合成反応に関する研究
Project/Area Number |
17036044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 克也 広島大学, 理学研究科, 教授 (40265731)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | ナノ内部磁場空間 / 絶対不斉合成 / キラリティー / キラル磁性体 / 結晶のキラリティー / 磁性のキラリティー / 強磁性錯体 / 透明磁性体 |
Research Abstract |
研究目的を達成するためにナノ空間を持つ磁性体(ホスト)を構築し、それに光異性化活性なラセミ分子(ゲスト)を包接させるために、ターゲットとするゲストを取り込むのに最適なナノ空間を持った磁性体の構築検討を行った。ホスト錯体として蟻酸マンガンを蟻酸、トリエチルアミン、塩化マンガンを水-メタノール混合溶媒中で作成した。得られたホストの磁性をSQUID磁束計により検討したところ、転移温度8.5Kの強磁性体であることを明らかにした。また単結晶X線結晶構造解析により、溶媒であるメタノール分子を格子内に含んだ包摂錯体であることを確認し、熱分析を行うことにより、この錯体が結晶を保ったまま包摂したメタノール分子を脱着することが判った。またこの錯体を合成する過程において、チャンネル型配位空間を有する新規包摂錯体も発見した。この新規錯体は転移温度8.0Kの強磁性体であることを磁気測定により明らかにし、さらに上記の錯体と同様に溶媒分子のメタノールを吸脱着することを明らかにした。光反応活性な分子については今回はクロトン酸を用い、メタノールを除いた二つの蟻酸マンガンに包摂を試みた。包摂の方法としては、様々な溶媒(極性の違う溶媒や配位空間に立体的に入り得ないような大きな炭化水素等)にクロトン酸を溶解させその溶液に浸すことにより包摂を試みたところ、理論量の約60%まで包摂されることが判った。また純粋なクロトン酸と脱メタノール化した蟻酸マンガンと加熱する直接反応も試みた。直接反応の場合も理論量の約60%まで包摂することが明らかとなった。上記のようにして得られたクロトン酸を包摂した錯体について単結晶X線構造解析、磁気測定を行った。単結晶X線構造解析では、室温下、低温下共に完全解析には至らなかったが、粉末X線構造解析により、ホスト錯体は包摂前と同じ、結晶構造を持っていることが明らかとなった。磁気測定では、やや転移温度が下がったものの前の錯体で転移温度8.0K、チャンネル型錯体で7.8Kで強磁性体へ転移することが明らかとなった。現在、光反応用の極低温下磁場中光照射装置について製作を行っている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)