Project/Area Number |
17036056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高見澤 聡 横浜市立大学, 国際総合科学部, 助手 (90336587)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 分子性固体 / 金属錯体 / 多孔質固体 / 結晶構造 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究は、単結晶形状を保ったまま様々なガス状ゲストを吸脱着できる単結晶多孔質固体を用い、ガス吸着現象を媒介として結晶中にゲストを配列させて単結晶X線構造解析によって状態観測する手法の開拓を行いつつ、同時に配位空間のホスト特性を構造化学的に明らかにしようとするものである。CO_2やO_2の包接結晶については報告済みであるが、これらは低温でのガス吸着構造であり、厳密には凍結構造と位置づけられるべきものであった。一方、相対的に高温ではガス吸着平衡状態が期待できる。そこで、室温高圧下(13MPa)のメタン吸着構造の直接決定を行った。その結果、メタン分子が結晶内微小空間の狭い部分に特異的に吸着しており、有機骨格で囲まれた空間に対するメタンの高い親和性が明らかとなった。球状のメタン分子は固体中でも回転し易いため、重心を結晶周期に沿わせつつもランダムな分子配向をとった"包接柔粘性結晶(inclusion plastic crystal)"を生成しているものと思われる。周囲のメタンは超臨界状態にあり、これは超臨界ガスの吸着平衡構造の観測例である。また、水素ガスの吸着貯蔵が最近注目されており、配位空間中での水素ガス吸着構造の観測は重要である。水素分子は分子径が2.4Åときわめて小さいが、本安息香酸ピラジン錯体結晶の最も狭い部位の径と同程度であり、ホスト-ゲスト相互作用が顕著に吸着状態に反映される可能性があった。大気圧下90Kでの単結晶X線構造解析から、弱くコンタクトした水素分子の2量体と思われる構造が観測された。これは結晶内微小空間による吸着状態安定化による水素の様な僅少の質量のガスの高密度吸着の可能性を示唆している。さらに、より複雑な包接状態が期待できるアルコール蒸気吸着では水素結合により会合したエタノール二量体の選択的生成が確認された。ホストの固体構造変化によるチャンネル構造の柔軟性とゲスト問の水素結合による会合体の生成により包接結晶が安定化されていると思われる。直鎖飽和1価アルコールについてメタノールからn-ペンタノールまで蒸気吸着による包接結晶構造を調べたところ、n-プロパノール以上では分子間水素結合は見られず、孤立した分子として観測され、ゲスト分子構造特性とゲスト凝集状態の相関が見られた。
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