幾何学的フラストレーションを有する系の超伝導と量子輸送の研究
Project/Area Number |
17038012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 聡 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (10263063)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 超伝導 / 空間反転対称性 / 幾何学的フラストレーション / 反強磁性体 / 量子輸送 / 電子相関 |
Research Abstract |
幾何学的フラストレーションを有する量子磁性体の研究……..幾何学的フラストレーションを有する三角格子上の2次元量子反強磁性体の研究は古くからなされており、絶対零度では120°構造で秩序化することが理論のコンセンサスである。しかしながら、有限温度でどのような臨界的性質が表れるかについては、フラストレーション系に固有の難しさがあって、今日でも十分には理解されていない。この問題に関連して、当研究では非摂動的繰り込み群の手法を用いた研究を行い、有限温度で量子揺らぎ誘起の1次転移的振る舞いへのクロスオーバーが起こることを明らかにした。この研究結果は最近発見された三角格子量子反強磁性体の実験結果の理解に応用された。 低次元磁性体の不純物効果……スピン1/2の量子スピン鎖は低温度で朝永ラッティンジャー液体として振る舞うがこれに非磁性不純物を導入して、スピン鎖を切断すると端付近で量子相関効果の絡んだ異常が現れ、それは帯磁率の振る舞いから観測可能であることが、我々の以前の研究で予測されていた。本研究では、最近の詳細な実験結果と理論との比較を行い、この効果が実験の観測量に現れていることを明らかにした。 空間反転対称性の破れが小さい超伝導体における磁場中の異常物性……スピン軌道分裂が小さく超伝導ギャップΔと同程度の場合の新物性にいて研究を行つた。この問題は最近その物性が実験的に明らかになってきた空間反転対称性の破れた超伝導体Y2C3と関連している。当研究によって、スピン軌道相互作用が小さい場合、磁場効果に特異性が表れることが理論的に明らかになってきた。すなわち、磁場によるパウリ対破壊効果がスピン軌道分裂の波数依存性を反映して、波数空間で異方的になり得る。さらにその結果、等方的なs波超伝導であっても、磁場効果で1粒子励起エネルギーにポイント・ノードが表れる可能性があることが示された。本研究成果は空間反転対称性の破れた超伝導の新しい側面を明らかにするものである。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)