キャリア過剰ドープによる高温超伝導性消失過程の物性
Project/Area Number |
17038016
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田島 節子 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (70188241)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増井 孝彦 大阪大学, 大学院理学研究科, 助手 (10403099)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 超伝導材料・素子 / 光物性 / 低温物性 / 物性実験 / 高温超伝導 / キャリア過剰ドープ / ラマン散乱分光 / 超伝導ギャップ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、Ca置換したYBa_2Cu_3O_yの結晶を育成し、酸素濃度とCa濃度の制御によってキャリア濃度を様々に変化させた。これらの試料を用いて、ラマン散乱スペクトルと光学反射スペクトルの測定を行った。 ラマン散乱分光からは、キャリア過剰ドーピングの効果として、二つの異常な振る舞いが観測された。1つは、B_<1g>偏光における超伝導対破壊ピークのエネルギーが激減し、ピーク強度が増大すること。もう一つは、yy偏光での対破壊ピークの強度が著しく減少すること、である。このようなスペクトルの変化は、キャリア濃度にのみ依存しており、酸素欠損量との相関はないことが明らかになった。前者のスペクトル異常の原因としては、超伝導ギャップの対称性が純粋なd波からs波成分の混じったものに変化していることが考えられる。後者のスペクトル異常は、面間の結合が強まったため、CuO鎖とCuO_2面の電子ラマン成分が負の干渉を起こした結果であると解釈される。 興味深いことは、これらのスペクトル異常のキャリア濃度依存性が、キャリア濃度p=0.18-0.19付近で急激に変化することである。前者の異常は、p=0.19に向かって急激な変化をし、それ以上のキャリア濃度では変化が極めて小さい。一方、後者の異常は、p=0.19以上から現れはじめる。このことは、p=0.19付近で何らかの電子状態の大きな変化が起きていることを示唆するものと考えられる。 面内光学反射率スペクトルからは、キャリアを過剰ドープするに従って、超伝導対形成をしない残留キャリア成分が増加し、同時に超流動密度(超伝導キャリア数)が減少する様子が観測された。これは、キャリアを過剰にドープすることが、なんらかの対破壊効果を引き起こしているか、或は、超伝導組成と非超伝導金属組成とに分離しているような不均一電子状態になっているか、どちらかではないかと思われる。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)