Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
走査型化学顕微鏡は、プローブで単一の原子や分子を拾い、その原子を質量分析器に飛ばして化学分析し原子を同定するための顕微鏡である。このプローブでは、表面をみてターゲット分子を拾い、分析器に分子をとばすために、プローブを大きく変位させるアクチュエータの技術が必須である。ダイナミックモードAFMとの併用により、原子分解能で表面像を観察し、化学分析を可能にする。しかし、プローブを大きく動かすアクチュエータは、剛性が小さく、原子間力顕微鏡との併用が困難である。小型のアクチュエータで発生できる力は弱く、プローブのバネ定数を極めて小さくしないと、駆動できないのが問題である。アクチュエータのバネ定数が小さいと、プローブが原子間力で表面に張り付き、動作が不安定になると共に、十分な分解能が得られない。これらの問題を解決するため、アクチュエータの剛性を能動的に変化するアクチュエータを開発した。原子分解能をもつ走査型化学顕微鏡を実現するには、走査型プローブへの以下のマイクロ・ナノ駆動機構の集積化が不可欠である。(1)ダイナミックモードで原子像を得るための、20N/m以上のバネをもつ駆動機構。(2)原子を化学分析する際に大きく動作させるための、30μm以上の大変位駆動機構。そこで本研究では、非線型バネを有した圧電アクチュエータを開発し、走査型化学顕微鏡に集積化した。この大変位機構は、化学分析のためにプローブ探針を電界放出用電極近傍に持ってくるために非常に重要な役割を果す。また、表面像を観察する際には、バネを硬くし、ダイナミックに振動させて、その共振周波数の変化あるいは振幅の変化を利用してイメージングできる。このアクチュエータ構造で、50μmの大きな変位を達成した。また、先端に圧電の振動センサを集積化し、原子間力顕微鏡に応用できることを示した。
All 2007 2006 2005
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