Budget Amount *help |
¥9,600,000 (Direct Cost: ¥9,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
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Research Abstract |
リンパ球系由来の前駆細胞を識別可能な色素でラベルするために,RAG1-Creノックインマウスを用いた.RAG1-CreマウスにEYFP-ROSA26マウスを掛け合わせた.このシステムを用いてEYFPの黄色蛍光をマーカーとしてリンパ組織中の樹状細胞を観察したところ,脾臓,胸腺リンパ節の樹状細胞はいずれも約5-10%のみEYFP陽性であり,生体内でリンパ球系を起源とする樹状細胞の割合は,骨髄系起源の約10分の1と小さいことが明らかになった。そこで,さらに,これらのYFP陽性,陰性の樹状細胞を各臓器より純化し,網羅的遺伝子発現解析を行った。脾臓,胸腺における樹状細胞群を純化し,Illumina社のマウス用cDNAマイクロアレイチップを用いて発現解析を行った。その結果,1)EYFP陽性,陰性の樹状細胞は,脾臓,胸腺のそれぞれの臓器において,ほぼ同じ遺伝子発現パターンを取っており,同一の細胞集団として見なすことが可能であると考えられた。2)一方で,脾臓と胸腺の臓器別樹状細胞間での比較では,EYFPの陽性,陰性に関わらず,大きな違いがあることが明らかになった。これら臓器特異的に発現する樹状細胞関連遺伝子についてはその機能を現在解析中である。以上より,樹状細胞の殆どは骨髄系前駆細胞を起源としており,樹状細胞の機能の差異は,樹状細胞のリンパ球系・骨髄系の起源によるよりも,樹状細胞が存在する微小環境に影響を受けることが示唆された。 RAG1-CRE陽性の樹状細胞は胸腺においてさえ10%以下に留まったことからリンパ球系分化が樹状細胞集団の恒常性維持に果たしている役割は小さいと考えられた.また.リンパ球系・骨髄系由来に関わらず,ゲノムワイドのプロファイリングでほぼ同じ遺伝子発現パターンを示したことから,樹状細胞は,リンパ球系・骨髄系にコミットした後も,同じプログラムを用いて分化していると考えられた.すなわち,樹状細胞群は,リンパ球系・骨髄系に分類するべきではなく,むしろそれらから独立したユニークな分化プログラムを用いていることが示唆された.
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