レチノイン酸によるリンパ球ホーミング特異性の制御機構
Project/Area Number |
17047052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
岩田 誠 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (50160122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宋 時栄 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (00399693)
大岡 嘉治 徳島文理大学, 香川薬学部, 助教授 (60303971)
竹内 一 徳島文理大学, 香川薬学部, 助手 (00421298)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥9,600,000 (Direct Cost: ¥9,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥4,800,000 (Direct Cost: ¥4,800,000)
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Keywords | レチノイン酸 / リンパ球 / T細胞 / B細胞 / ホーミング / 樹状細胞 / 腸管免疫 / IgA / インテグリン / ケモカイン |
Research Abstract |
目的:免疫系の司令塔であるT細胞に小腸組織へのホーミング特異性を刷り込む因子の分子実体がレチノイン酸であることを我々は発見した(Immunity 21:524,2004)。本研究では、その分子機構の解明を進めることによって、リンパ球ホーミングの乱れが関与する疾患の制御や予防に向けた新たな方法論確立のための基盤を構築することを目的とする。 結果:ビタミンA欠損マウスでは、T細胞と同様に、小腸組織に分布するIgA^+B細胞の数が著しく減少していることを見出した。一方、IgD^+ナイーブB細胞はビタミンAのレベルに関わりなく、パイエル板に多く存在していた。さらに、Harvard大学のvon AndrianグループおよびBirmingham大学のAdamsグループとの共同研究で、T細胞の場合と同様に、レチノイン酸がナイーブB細胞にα4β7インテグリンとCCR9ケモカイン受容体の発現を誘導し、小腸へのホーミング特異性を刷り込むことも見出した。そして、IgA抗体産生の誘導にも樹状細胞の生成するレチノイン酸が関与し、IL-6またはIL-5がこれを増強することを明らかにした。 リンパ球へのこれらのレチノイン酸の効果は、レチノイン酸受容体(RAR)を介するものだと考えられた。α4、β7、ccr9遺伝子について転写制御領域と推定される領域を解析したところ、典型的なレチノイン酸応答配列(RARE)は見出せなかった。また、これらの遺伝子の発現の経時的変化から、レチノイン酸によるこれらの転写制御は間接的なものであることが示唆された。 種々のリンパ系器官から精製した樹状細胞において、レチノイン酸生成の鍵となる酵素retinaldehyde dehydrogenase(RALDH)のアイソフォーム4種のmRNA発現を解析したところ、raldh2が、腸間膜リンパ節の樹状細胞に強く発現していることが確認できた。そしてそれより強度が低いがパイエル板由来樹状細胞にも有意なraldh2の発現が認められた。 考察:レチノイン酸は、T細胞ばかりでなく、B細胞にも小腸へのホーミング特異性を刷り込むため、そのもととなるビタミンAが欠損すると、小腸組織からT細胞が消失してしまうばかりでなく、IgA^+B細胞も著しく減少してしまう。つまり、腸における免疫監視にとってやはりビタミンAは必須であることがさらに明確となった。レチノイン酸のホーミング受容体発現への効果は、受容体遺伝子の転写制御領域に直接作用するのではなく、間接的なものである可能性が高い。樹状細胞がレチノイン酸生成能を獲得するには、生成酵素、特にRALDH2のは発現が重要である。その発現には小腸組織に独特の環境因子が関与している可能性があるが、その実体はまだ明らかでない。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)