Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
「ナノ筋収縮系」は、ウサギ腸腰筋から直接調製される分子モーター集合体(A帯)と、光ピンセット技術・蛍光観察技術を用いて操作・計測される単一アクチンフィラメントにより構成される。本研究の目的は、アクトミオシン分子モーターの運動特性と筋収縮制御系タンパク質による制御方式とを、生体内の筋肉と同じ条件で、規則的に配列した数〜数十の分子モーターと相互作用する単一アクチンフィラメントレベルの顕微解析により明らかにすることである。まず、ナノ筋収縮系にトロポニン・トロポミオシン複合体を加えて筋肉の細いフィラメントを再構成し、Ca2+が存在するときのみ張力が発生するという、筋肉で存在するCa2+感受性を回復させた。その結果、Ca2+存在下でのみ大きな張力発生が観察された。次にこの再構成した細いフィラメントを用いたナノ筋収縮系で、筋線維・筋原線維で起こる自励振動現象に類似した振動が起こること、しかし台地状加工カバーガラスを用いたin vitro滑り運動系では起きないことを確かめた。以上の研究の予備的な成果の一部は、2006年にAdv.Exp.Med.Biol.誌へ発表した。また張力発生しているときのビーズの動きをより詳細に検討するため、これまでは秒速30フレームであったナノ筋収縮系に高速カメラを導入し、秒速3000フレームで画像を取得できるようにした。すると、時間分解能を上げても張力揺らぎの幅がほとんど変わらないことが分かった。また溶液中のATP濃度を下げ、力発生するミオシン分子の数を減らしたところ、10μMまでは張力揺らぎが観察されたものの、それ以下では、アクチンフィラメントがA帯に向かって連続的に引き込まれるようになった。さらに滞在しやすい点が周期的に存在することを示唆する結果を得たが、何に由来するものかはまだ明らかでない。
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Biophysical Journal 92(6)