Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
ヒトなどに代表されるほ乳類では,性分化の可塑性はどこまで存在しうるのか?精巣の女性化症は,男性の精巣で卵巣に近い機能を持つことが知られている.一方,卵巣における性分化の可塑性については,ほとんど未開の状態である.つまり,本研究テーマとして「ほ乳類卵巣におけるエストロゲンシグナルの作用と性分化の可塑性」について,生殖腺の分化前と分化後に時間軸を区別して,特に生殖腺分化後における女性生殖器での性分化の可塑性について明らかにすることを目的とする. エストロゲンレセプターαβERダブルKOマウス卵巣において,形態的にセルトリー細胞様の構造が卵巣で形成されていることが報告されており,男性の生殖器官のみならず,女性の生殖器官でも性分化の可塑性が存在することが示唆されている.エストロゲンシグナルと性分化の可塑性に見られる,その作用メカニズムを解明するために,今までに報告のあるSex reversalな表現型を伴うマスター因子に関して,αERKO,βERKO,およびαβERKOマウス卵巣を材料として,これらのマスター因子群について検討した結果コントロールおよびβERKOマウス卵巣のみでオーファンレセプターであるDax1が核に移行しており,一方αERKOおよびαβERKOマウス卵巣においてはDax1が核に移行できないことを示した.つまり,核内レセプターであるERαとDax1はヘテロダイマー形成することで,特異的な転写制御作用をもたらし性分化機能に作用することが示唆された,最近のin vitroの研究において,ERαとDax1がヘテロダイマーを形成することが報告されており,我々の研究結果と同様で生体においてもERαとDax1とがヘテロダイマーを形成し正常な生殖器官の機能を維持している可能性が示唆された.それ故,αβERKOマウス卵巣で見られる卵巣の雄性化に関しては,少なくともERαとDax1がヘテロダイマー形成せずに下流応答遺伝子群の転写制御ができないことに起因する可能性を示唆した.
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