ヒト神経幹細胞を用いた放射線脳障害メカニズムの解明とその臨床応用
Project/Area Number |
17591733
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Obstetrics and gynecology
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
福田 裕償 循環器病センター (40324751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下屋 浩一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40291950)
古元 淑子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20397665)
村田 雄二 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40283759)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 放射線 / 未熟脳 / subventricular zone / subgranular zone / アポトーシス / ニューロゲネシス / 年齢 / 体温 |
Research Abstract |
頭蓋内腫瘍の治療に放射線照射を行った場合、合併症として知能低下を来たすことは古くから知られている。近年になってこの知能低下は放射線によるニューロゲネシス(神経再生)の低下が原因と考えられるようになった。海馬においては生涯ニューロゲネシスが起こっているが、動物実験において放射線がこの海馬のニューロゲネシスを減少させ記憶障害や知的障害を引き起こすことが確認されている。特に新生児・小児期の海馬には成人とは比較にならないほど多くの神経幹細胞が存在し盛んにニューロゲネシスを繰り返しているため、放射線照射による知能低下は小児に顕著で、また年齢が低いほど重篤になることは臨床的に示されている。しかしながらこれまで終生分裂能を有するはずの神経幹細胞がなぜニューロゲネシスの低下を来たすのかについてあまりはっきりとした見解は得られていなかった。最近放射線照射後に生じるニューロゲネシスに低下は放射線によるneuronal stem cellへの直接障害ではなくむしろ被爆後長期にわたって続く炎症ではないかという説が提唱された。そこで今回、炎症およびニューロゲネシスの観点から放射線の未熟脳への影響を検討することとした。これまでの研究で、ラットの頭部に放射線を照射した後、神経幹細胞の多く存在する側脳質周囲に存在するsubventriclar zoneと海馬歯状回内側に存在するsubgranular zoneの2箇所のタンパクレベルの変化を細胞障害のマーカーについて時間経過で追跡し、生後9日目のラットの場合およそ2時間後から6時間後にP53、酸化ストレスマーカーのnitrotyrosineが上昇、その後6時間から12時間後にかけてアポトーシスのマーカーのactivated caspase-3,AIFおよびTUNELが増加、以後24時間にはすべてのマーカーが消失したを報告したが、今回この経過を踏まえて年齢とアポトーシスの関係をまず確認した。生後7日目と21日目のラットに8Gyを一回照射し、同様のタンパクのマーカーを追跡し、我々は(i)未熟な脳ほどsubventricular zoneとsubgranular zoneが大きい;(ii)細胞障害マーカーのactivatied caspase 3,p53およびnitrotyrosine formationは6時間後の時点で未熟脳でよりいっそう増加する;(iii)subventriclar zoneとsubgranular zoneにおける神経前駆細胞と未熟な神経細胞6時間後および7日目に減少するが、これらの影響は未熟脳においてより著明になる;(iv)年齢に関係なく脳のミエリン化は傷害されるが未熟な脳ほどその程度は強い;(v)放射線による頭部への影響は少なくとも出生後10週間は持続し、その影響は未熟脳ほど大きいことが確認された。さらに我々は放射線脳障害と体温についての検討も加え、放射線照射後4時間の高体温により細胞障害のマーカーであるクロマチン凝縮やnitrotyrosineが正常体温のときと比べて早く出現することを確認した。Caspase-3の活性化はとP53は照射後4時間の低体温処理により減少していることが確認された。また高体温処理群においてsubventricular zoneのnestin陽性神経前駆細胞は7日後において細胞数では48%、subventricular zoneでも45%の減少が見られた。温度による放射線後のミエリン化に関しては影響はなかった。これらのことから頭部放射線治療後の体温管理は特に幼弱な乳幼児において重要であることを示唆する結果となった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)