Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Research Abstract |
本研究は,ルシフェリン-ルシフェラーゼ(L-L)を利用した安全かつ高感度なATP検出手法を応用することで,血栓形成の初期段階である血小板凝集を血液ポンプ内部において,実時間で捕らえようとするものである.血小板は血流やポンプ部材によって活性化される.活性化された血小板はADP,ATP,セロトニンなどを放出する.これらの物質の中でATPは,L-L試薬を用いることで高感度に検出可能である.L-L試薬は,活性化された血小板から放出されるATPと反応し,発光する.この発光を光電子増倍管で高感度に検知すれば,血液ポンプ内における血小板の活性化を分析することが可能となる. まず基礎実験として,試験管内の血液で血栓を形成させた.血液凝固能抑制のためにヘパリンを加えた山羊血を充填した試験管にL-L試薬を加え,さらに血液凝固能を復活させるために硫酸プロタミンを投与し,光電子増倍管を用いて発光量の変化を観測した.硫酸プロタミンを加えてから5〜10分後に発光強度が最大となった.これは,明視野で行った比較実験において血栓が形成される時刻とほぼ一致しており,この発光が血小板の活性化を示すものと認められた. 次に,充填量60mLの模擬循環回路を用いて,遠心型血液ポンプ(日機装製,HPM-15)内で生じる血小板活性化の測定を試みた.ヘパリンを加えた山羊血を回路に充填し,L-L試薬を加えた.さらに,血液凝固能復活のために硫酸プロタミンを投与し,光電子増倍管で血液ポンプから生じる発光を観測した.血液ポンプを用いた実験系でも,血小板の活性化による発光を観測することに成功した.また実験後に血液ポンプ内に生じた血栓を観察したところ,これまで臨床等で報告されている血栓形成位置とよく一致する部位に血栓が生じていた.今後は本手法を用いて,血液ポンプ内部における血小板の活性化や凝集の発生部位を明らかにして行く.
|