Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
地震発生時に震源近傍の観測地震動波形を利用して,震源から離れた地点の主要動の時刻歴波形を,その到達前に推定する,「入力地震動波形のリアルタイム推定手法」を構築する事を目的とする。本年度は,実地震記録を用いて,昨年度提案した波形推定手法の適用性を実証した。 2004年の紀伊半島南東沖の地震記録を用いて,震源から関東,濃尾,大阪方面の3測線を設定し,各測線上の震源近傍地点に対する複数地点の伝達特性を比較した。伝達特性は各測線方向で異なるが,同一測線上の2地点間では,前震,本震,余震でのばらつきは小さく,震源位置が近いと伝達特性は比較的安定している事が判明した。次いで,各測線上で震源近傍地点の観測波形を入力として50km程度離れた地点の波形推定を行った。表面波が卓越する長周期域に着目し,速度波形に積分後,0.05Hz〜0.25Hzのバンドパスフィルターを通した波形を使用した。前震で同定した5次の伝達特性モデルを用いて,本震と余震の波形推定を行ったところ,主要なピーク前後の波形を概ね推定出来ることが判明した。同様の処理方法を2004年10月の新潟県中越地震の本震と余震記録にも適用し,K-KET前橋(GNMOO8)の観測波形を入力として,105km程度離れた二俣川(KNGOO6)の波形推定を行った。余震の主要なピーク前後の波形を概ね推定できることが判明し,地震動の伝達特性が比較的単純な場合,長周期成分の波形は,相当の遠距離まで推定可能であることを実証した。 地震動の周波数伝達特性を同定する別のアプローチとして,2007年3月の能登半島沖地震を対象とし,多点観測記録からスペクトルインバージョンで同定した伝播特性とサイト増幅特性を利用して,地点間の波形記録の変換を行った。位相情報の同定方法については更に検討が必要であるが,最大速度や卓越振動数は概ね再現できる事を示した。
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