Project/Area Number |
17651104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
基礎ゲノム科学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 真一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00313099)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 転写開始点 / エピジェネティクス / 遺伝子発現 / SAGE / 癌 |
Research Abstract |
最近、種々の遺伝子の発現にエピジェネティックな作用が関与していることが明らかになってきた。特に癌の発生や進展にDNAのメチル化やヒストンの脱アセチル化などのエピジェネティックな異常が関与していると考えられている。しかしながらDNAのメチル化などのエピジェネティックな作用が、転写開始点およびその発現量にどのような影響を及ぼすか検討した報告は非常に少なくその詳細は明らかでない。そこで我々が開発した5'SAGE法を用いてエピジェネティックな作用が上述の発現様式にどのような影響与えるか検討した。 脱メチル化剤(5-Aza-2'-deoxycytidine;5Aza)及び脱アセチル化阻害剤(TSA)処理した大腸癌細胞株HT-29からmRNAを単離し、5'SAGE法により転写開始点及び発現量について解析した。その結果、未処理の細胞に比べて5Aza, TSA処理群ではともに子発現量が増加し、さらに転写開始点の多様性の増加も観察された。興味深いことにTSA処理では遺伝既存の遺伝子の3'endに近接したイントロン及びエクソン領域、さらにアノテーションされていないゲノム領域からの非翻訳転写産物と考えられる発現量の増加が観察された。このことからエピジェネティクな変化が非翻訳転写産物の発現に関係していることが明らかとなった。さらにクロマチン免疫沈降法にてこの非翻訳転写産物発現領域のヒストンのアセチル化状態を調べた。その結果、非翻訳転写産物の転写開始点付近のアセチル化状態は既存の遺伝子の転写開始点付近の状態と比べて極めて低く、転写因子が高アセチル化状態の領域に結合して発現を誘導することを考えると、この非翻訳転写産物の発現様式は既存の遺伝子の発現様式と異なることが示唆された。 今後、このヒストンアセチル化の変化によって増加した非翻訳転写産物の生理学的な意義についても検討する。
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