Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
前年に引き続き、機能性物質選択的「つり上げ」のツールとして、近年、進歩の著しいフルオラス化学を利用した。フルオラス化合物とは高度にフッ素化された炭素鎖の総称であり、水や一般的な有機溶媒に不溶であり、高度にフッ素化されたフルオラス溶媒(例えば、過フルオロメチルシクロヘキサン等)にのみに可溶である化合物群である。フルオラス溶媒に可溶するように、二本鎖フルオラス側鎖、芳香環、アルデヒドを有する化合物を分子設計した。フルオラス鎖の長さの調整、及びこれによるフルオラス溶媒への抽出効率を検討した。モデル化合物を検討した結果、F含有率を基にしたフルオラスタグのFC-72(パーフルオロヘキサン)への抽出効率の目安がメタノールの分配係数検討を行った。モデル化合物をもとに、更に複雑なフルオラスタグの合成を行った。機能性分子の抽出条件の検討を引き続き行った。昨年度の条件をさらに最適化するとともに、北方圏自生植物抽出物ライブラリーの一部をメタノール溶液からのつりあげ実験を行った。LC-MSの分析条件の最適化を行い、ある種の植物にアルデヒド特異的結合能を有する化合物があることを発見した。本植物を大量に採取し、メタノール抽出を行い、大量合成したフルオラスタグとの結合実験を行った。植物抽出物6g、フルオラスタグ0.5gを使用し、FC-72による抽出を行った結果、フルオラス層に50mgの化合物を効率的かつ選択的に得ることに成功した。また、本化合物の各種スペクトルデータの測定を行い、ある程度の部分構造の推定に成功した。
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