Project/Area Number |
17656001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied materials science/Crystal engineering
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
足立 智 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10221722)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | 核スピン / 電子スピン / 超微細相互作用 / 単一量子ドット / オーバーハウザーシフト / 偏極率 / InAlAs / キュービット変換 |
Research Abstract |
電子スピンと核スピン集団との相互作用(超微細相互作用)は半導体を使った量子演算で注目されている。超微細相互作用は、量子ドットの長い電子スピン緩和時間を最終的に制限するスピン緩和メカニズムと考えられ、またこの相互作用を通して、注入された電子スピンが引き起こす動的核分極により発生した核磁場は、電子エネルギー準位のシフト(オーバーハウザーシフト)を誘起する。特に量子ドットでは、電子の波動関数が局在するのでこの相互作用が桁違いに強い。 本研究では、これまで観測されていなかった自己集合量子ドットで光ポンピングによる核スピン偏極を初めて観測した。積層して量子ドットが成長可能な自己集合量子ドットで、核スピンの光ポンピングに成功した意義は大きい。励起強度に依存するが、単一InAlAs量子ドットからの発光が最大105マイクロ電子ボルトのオーバーハウザーシフトを示した。Voigt配置における励起子発光線の分裂を観測し、電子と正孔のg因子を評価したところ、核スピン偏極によって電子が感じる実効磁場は4.2テスラに及ぶことが分かった。これらにより、量子ドットがナノメートルサイズで強磁場を発生するナノマグネットとみなせることを実証した。同時に励起偏光に核スピン偏極率が制御可能であること、核スピン形成時間が最大10秒以内であることを実験的に見出した。すなわちナノマグネットのオン・オフが比較的短時間で光により行えることを意味しており、当初の研究目的を達成したと同時に、実用的にも意義深い結果を得た。 また量子演算における核磁場の新しい利用法として、従来g因子工学という手法で、材料と構造の組み合わせにより実現可能とされていた光スピン-電子スピン間のキュービット変換が、核スピン偏極による実効磁場でより柔軟性をもって実現できることを提案し、理論的に示すことにも成功した。
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