Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本年度は前年度の結果を受けて,観測システムの構築およびデバイス作製技術の検討を中心に,以下のように研究を実施した。 1.磁束量子観測システムの構築 前年度のシステム構成要素の検討に基づき,磁束量子観測システムの構築を行った。光学系については通信帯域の波長のレーザを用いて,試料での反射光の偏光面のファラデー回転を検出するように,光ファイバで試料への光の導入と試料からの信号光の取り出しを行う構成とした。取り出した信号は偏光ビームスプリッタで2偏光成分に分け,その差分を検出することで偏光面の回転を検出して磁束量子を観測する。試料の位置に金属膜などを置いて光学系のチェックおよび改善を行うとともに,アライメント調整方法の検討および試料設置部の設計を行った。 2.デバイス作製技術の検討 磁束量子の検出部では,ファラデー回転角を大きくするため,微小な超伝導ループに磁束量子を閉じ込める必要がある。また,ループへの磁束量子の出入りが高速に行われる必要がある。これらの条件を満たすのに必要なナノブリッジの作製技術について検討した。電子ビーム描画によりY系高温超伝導体YBa_2Cu_3O_<7-x>のマイクロブリッジを作製する際に,プロセスによる超伝導性の劣化を防ぐために,エッチング中の試料の冷却,プロセス順序,保護層の使用等を検討した。その結果,50nm幅で臨界電流密度10^7A/cm^2という良好な超伝導特性を示すナノブリッジを得ることができた。これより,磁束量子の検出部に要求される特性を満たすナノブリッジの作製技術をほぼ確立することができた。また,ナノブリッジを用いたSQUID構造を作製したところ,磁場に対して周期的な応答を示し,このナノブリッジを用いた超伝導ループ内に磁束量子を一つずつ出し入れできることが示唆された。これらより,単一磁束量子検出部作製のめどが立った。
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