セメントゲル粒子に捕捉される細孔水分の長期運動に関する分子動力学モデル
Project/Area Number |
17656141
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil engineering materials/Construction/Construction management
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前川 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80157122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東畑 郁生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20155500)
石田 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60312972)
半井 健一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10359656)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Keywords | 分子動力学 / SPC / E剛体水分子モデル / Lennerd-Jonesポテンシャル / クーロンポテンシャル / 粘性 / 拡張係数 |
Research Abstract |
本研究では,ナノメートルスケールのセメント硬化体の微細空隙内に存在する水分の輸送特性を検討するため,分子動力学を利用した分子シミュレーションを行った.セメント硬化体の結晶はアモルファス状であり材齢とともに刻々と変化するため,C-S-H結晶を忠実に再現することは困難であると考えられる.したがって,単純なポテンシャルを持つ原子の組み合わせで固体壁面ポテンシャルを表わすことを試みた.水分子に関しては,多くの熱物性値の再現性が高い剛体水分子モデルのSPC/E(Extended Simple Point Charge)ポテンシャルを採用した.これらのポテンシャルを用いて,層状の微細空隙内水分の粘性,拡散係数の算出を行った. Lennard-Jones(以下,LJ)ポテンシャルのみを固体壁に与え解析を行った結果,空隙幅1nmの空隙内水分の平均輸送係数はバルク状態の数十倍程度で,空隙が3nmを超えるとバルク状態と大差ない結果となった.LJポテンシャルパラメータを変化させ,壁面ポテンシャルを変動させても同様の傾向が得られた.当該研究グループで開発中の熱力学連成解析システムDuCOMから推察されるコンクリート空隙中の平均粘性はバルク状態の数百倍であることから,単純LJポテンシャルのみではセメントゲル粒子固体壁の再現は困難であることがわかった. 次に,LJ,クーロン力の両者のポテンシャルを考慮した単純固体壁で1nm空隙内水分の粘性・拡散係数を求めた.固体壁面ポテンシャルの同定にはまだ不明な点が多いが,ナノメートルスケールの空隙内水分の各輸送係数はバルクの数千倍のオーダーで変化することがわかった.また,壁面に吸着する水分子は2,3分子程度で,DuCOMから推察される吸着水分状態に近いものとなった.今後は,壁面ポテンシャルの詳細な検討,より大きな空間領域までシミュレーションを拡張する必要があると考えている.
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)