Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Research Abstract |
組成幅がほとんどない化合物であるラインコンパウンドには,組成が古典的な化学量論に従わず構成元素比が整数でないものが多数存在する.このようなラインコンパウンドの基本的構造はほとんど既知であるが,実際には基本構造に多量の構造的原子空孔が組み込まれた空孔規則相として存在することが多い.特異な構造ゆえにラインコンパウンド空孔規則相には,その基本構造では考えられない高電気伝導度や低熱伝導率などの特異な物性を示すものがしばしば存在する.最近,我々は新たな熱電変換材料を探索する中,ReSi_<2-X>(X=0.25)やBa_8Ge_<46-X>(X=3)がこのような特異な物性を示すラインコンパウンド空孔規則相であることを発見し,本研究では,構造,特に「空孔規則構造」と「構造と物性の強相関」に関する系統的理解を目指して研究を行った.ReSi_<2-X>では,Reとの価電子数の多寡により空孔濃度を増減させることができ,その結果インコメンシュレート相が形成されるが,合金元素量増加に伴いインコメンシュレート構造は,シアー構造からアダプティブ構造へと変化する.この変化がおきる合金組成は合金元素に依存し,Moなどでは少ない添加量でこの変化が起こるものの,Ru, Fe, Cr, Nbなどでは固溶限ぎりぎりまでシアー構造が安定となる.熱電特性は概して,シアー構造を取る場合に低く,アダプティブ構造を取る場合に高い.たとえば,2%程度の合金添加でアダプティブ構造が形成されるMo添加の場合,[001]方向で得られた無次元性能指数は800KでZT=0.85(n型)であり,2元系Reシリサイドをはるかに凌駕する.添加量としては,シアー構造からアダプティブ構造へ変化するぎりぎりの組成で最も性能が良く,それ以上の添加ではかえって特性を悪くする.
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