Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
あらかじめ固溶化熱処理した鉄鋼基材表面をスパッタエッチングすると,表面に炭化物が析出すると同時に,炭化物がスパッタによって削られ,表面に硬い円錐状の微細突起物が形成される。析出物の密度は,粒界と粒内,結晶方位で異なり,析出物のアスペクト比(円錐の直径と高さの比)は,材料によって異なる。析出物の形成と成長には,スパッタエッチング時の空孔の導入,温度勾配,電気ポテンシャル勾配,基材と析出物のスパッタ率の差,炭素原子の拡散速度などが関係していると思われるが,それらの機構は未解明である。本研究では,このような析出物の形成機構を明らかにするとともに,析出物の形態を制御する方法を見出すことを試みた。 昨年度は,固溶化熱処理温度を変えることによって残留炭化物の量を変化させたSKD5工具鋼試料をスパッタエッチングし,残留炭化物が存在しない場合には均一で先端の鋭い微細な円錐状炭化物が形成されることを明らかにした。本年度は,引き続き,炭素量,炭化物形成元素の種類の影響を明らかにするため,オーステナイト系ステンレス鋼SUS304およびフェライト系ステンレス鋼SUS430について突起物の形成挙動を調べた。その結果,いずれの鋼でも,突起物の密度と大きさは,スパッタエッチング時間とともに増大するが,C%の少ないSUS304では,同じ時間でも密度は小さいことが分かった。また,SUS304ステンレス鋼について,電子後方散乱解析像法(EBSP)を用いて各結晶粒の面方位を決定し,スパッタエッチングによる炭化物析出速度を調べた。その結果,(111)面,(110)面,(100)面の順に,突起物ができやすいことを明らかにした。その理由は,(111)面はスパッタ率が小さいので突起物が安定に成長できること,原子の拡散が<110>方向に次いで<111>方向に起こりやすいことのためと思われる。
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