Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
本研究はキノコなどの真菌類で広く見られるdikaryon(2核細胞)の分裂機構を分子生物学的に解明することを目的とした。分裂酵母は細胞分裂の分子機構の解明が最も進んだモデル生物である。私はこの分裂酵母をdikaryonとして分裂増殖させる系を構築し、dikaryon特異的な分裂機構の分子機構を解析してきた。本年度の焦点はdikaryonがその遺伝型を維持するために2つの核が分裂したあと娘核どうしを交換する過程とSINシグナルの関係であった。SINの一員であるCdc7が古いSPBから消失するタイミングは、娘核の交換開始のタイミングと一致し、さらに細胞分裂アクトミオシン収縮環の成熟のタイミングとも一致したが、その意味を探るためにCdc7を失活させて観察した。すると娘核交換は収縮環の成熟を待たずに核分裂と同時に開始された。このことは収縮環の成熟をモニターするチェックポイント様の機構がdikaryonの分裂特異的に存在することを示唆する。SINは収縮環が収縮を完了が不完全だと次の細胞周期をG2期で停止させるcytokinesis checkpointの構成因子でもある。そこでSIN以外のcytokinesis checkpointの因子であるClp1/Flp1がこのdikaryon特異的な収縮環成熟まで娘核交換を遅らせる機構に関わるかどうかを調べたところ,関わっていないことが分かった。この結果は、cytokinesischeckpointとは別経路で働くSINの新たな機能がdukaryon特異的なチェックポイント機構に関与していることを示唆している。また、分生子もdikaryonとなるクロアワビタケを使った研究では亜種間雑種dikaryonが安定に維持されていることを示唆する結果を示した。
All 2008 2007 2006 2005
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 72
Pages: 216-218
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (印刷中)
Mycoscience 48(In press)
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Mycoscience 47・2(in press)
10017482063
化学と生物 43・12
Pages: 772-775
10016846589