Project/Area Number |
17657086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生理人類学
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
畠山 英子 東北福祉大学, 子ども科学部, 教授 (50103180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 良文 独立行政法人森林総合研究所, 樹木化学研究領域, 生理活性研究チーム長 (40126256)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 味識別能 / 味覚刺激 / 近赤外線分光分析法(NIRS) / 前頭部酸素化ヘモグロビン動態 / 生理的多型性 |
Research Abstract |
味覚刺激に伴う脳内応答の多様な現象に着目し、生理的多型性について説明するための基礎データを得ることを目的に研究を行った。H18年度は、H17年度の塩味、苦味に引き続き、甘味、酸味、うま味の味識別官能検査に用いられる閾値濃度(甘味溶液:0.4gショ糖/100m1、酸味溶液:0.005g酒石酸/100ml、うま味溶液:0.05gグルクミン酸ナトリウム/100ml)を中心に、その1/2倍濃度、2倍濃度の溶液と蒸留水を供試料とした。被験者に健康な20代男子13名を用い、脳内ヘモグロビン(Hb)動態を近赤外線分光分析法によって調べた。実験は食間に行い、十分な口腔内洗浄後に実験を実施した。刺激順序はランダムとした。実験は、温度24℃、湿度60%、照度40lxに制御した人工気候室において、閉眼座位で行った。同時に味識別試験を実施した。味覚刺激前20秒以上の安定を確認後、全口腔法により試料溶液を口に含んでいる30秒間の左右前頭部の恥動態を毎秒計測し、刺激前10秒間の平均値に対する相対濃度変化を求めた。酸素化Hb濃度に着目した場合、塩味溶液、苦味溶液と同様に、希薄な溶液と段階的に濃度を濃くした溶液を用いた実験より、酸素化恥濃度の低下の程度や上昇に転ずる時間、上昇後の酸素化Hb濃度の違いに味の種類や味識別との相関が見いだされた。希薄な3段階の甘味溶液、酸味溶液、うま味溶液で、前頭部の酸素化Hb濃度に変化が認められた。官能検査による味識別可能な濃度は被験者間で違いがあり、同じ濃度の刺激において、味識別群と非味識別群の問に酸素化Hb濃度の変化のパターンに差異が認められた。刺激直後から低下する酸素化Hb濃度の低下の程度や低下後に上昇に転ずる時間(秒数)を求めると、甘味、酸味の味識別群では非味識別群に比べ有意に大きかった。酸味において、被験者ごとにこれらの値を比較すると、味識別可能な濃度では味識別不可能な濃度に比べ有意に大きかった。甘味の蘭値濃度の非味識別群の酸素花Hb濃度の変化のパターンには、味識別群に類似する群と大きく異なる群が認められ、主観申告では捉えきれない味識別能の判別の可能性が認められた。味識別能の違いと味覚刺激に伴う前頭部酸素化Hb動態のパターンの問に主観申告では判明しきれない差異が見出され、意義ある基礎的データが得られた。平成17・18年度の基礎的データをもとに、嗜好飲料飲用時の主観評価と味覚刺激関連成分とのかかわりについて同様の実験を試み、味の認知と生理応答の生理的多型を論じた。味覚刺激に対する生理的多型について脳内応答で調べるための基礎情報が得られたものと考える。
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