Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Research Abstract |
近年,多くの生物でゲノム配列解読計画や高密度遺伝子連鎖地図の作製が進行し,全ゲノムレベルで遺伝子の配置(ゲノム構造)を生物間で比較することが可能となってきた.脊椎動物では,ヒトのゲノム配列解読に続き,トラフグのゲノム概要が,続いて,マウス,ラット,ニワトリのゲノム概要が解読されている.また,ゼブラフィッシュやメダカでは既知遺伝子の高密度連鎖地図が作製されている.これらのデータを生物間で比較することにより,脊椎動物の太古の祖先からヒト,齧歯類,硬骨魚類に至るゲノム構造の再編成の過程が再現されることとなった. 一方近年,ゲノム配列情報やゲノム構造の情報は連鎖地図と組み合わせることで,水産育種に大きな飛躍がもたらされると期待されている.ところが,我が国の養殖産業は,養殖対象魚種が多岐に渡っていることに大きな特徴があり,今後,そのすべての種においてゲノム配列の解読をおこなうことは現実的とは言えない.そこで,比較ゲノム法を応用して,トラフグゲノムの配列情報をもとにタイやブリなどのゲノム構造が推定できないかと考えた.この試みの成否は,硬骨魚類間でゲノム構造がどれほど保存されているかという点にかかっている。そこで,我々はトラフグのゲノムの10%の配列を連鎖地図上にマップし,これをメダカおよびゼブラフィッシュのゲノム構造と比較した.その結果,硬骨魚類のゲノム構造は驚くほど類似している可能性が示された.特に,トラフグとメダカ間でオルソロジーが明らかな18組の染色体間では,実に85%の遺伝子のシンテニーが保存されていた.我が国の重要養殖魚の多くはスズキ類魚類であり,これはトラフグとメダカにはさまれる系統的位置にあるので,トラフグとメダカの比較ゲノム解析により,多くの養殖対象魚のゲノム構造が推定可能である.
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