Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
まず、正常マウス(ドナー)より採材、調整した生殖幹細胞ないし精細管断片を、遺伝的に生殖細胞を欠如したW/W^vマウス精巣(レシピエント)へ移植し、移植後の精細胞の精子発生能について検討した。移植3ヶ月後にレシピエントより精巣を採材、組織学的、免疫組織化学的に詳細な解析を試みた。その結果、生殖幹細胞移植及び精細管断片移植とも、レシピエント側精巣内において、明瞭な精子発生の進行が確認され、本実験系を用いた薬物の毒性作用試験の可能性が確認された。次に、若齢のマウス及びラット精巣に対するMono(2-ethylhexyl)phthalate(MEHP)の影響を、光学顕微鏡並びに透過型電子顕微鏡により観察した。その結果、MEHPは精巣重量を有意に減少させ、またTUNEL陽性細胞の有意な増加が認められた。より高濃度のMEHP投与群では、マウス、ラットとも変性した精細胞が観察された。セルトリ細胞細胞質の空胞化及び精細胞の精細管腔への脱落も確認された。マウスとラットの比較では、MEHPの精巣毒性に対して、マウスがラットに比べ、かなり感受性が低いことが判明した。さらに、セルトリ細胞初代培養系及び精巣器官培養系を用いて、MEHPがもたらすセルトリ細胞の異常について解析した。若齢マウス精巣より立ち上げたセルトリ細胞培養系及び精巣器官培養系にMEHPを添加後、採材した。MEHP添加セルトリ細胞培養系のトルイジンブルー染色の結果、セルトリ細胞細胞質における空胞の数と大きさの増大が認められた。また、ビメンチン免疫染色の結果、セルトリ細胞培養系及び精巣器官培養系において、MEHP添加による時間、濃度依存的なビメンチン反応の減少が確認された。さらに、Fアクチンの崩壊が、MEHP長期曝露のセルトリ細胞培養系で観察された。
All 2007
All Journal Article (2 results)
Development 134・3
Pages: 449-454
Okajimas Folia Anatomica Japonica 83・4
Pages: 123-130
130004773569