Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
リーリンは脳の層構造形成に必須の巨大分泌蛋白質であり、ヒトでもリーリンが欠損することに起因する脳構造形成不全が報告されている。一方リーリンは成体の脳でも発現しており、その発現量や機能と、統合失調症や自閉症の発症との関連が指摘されている。しかし、成体脳でのリーリンの分子レベルでの機能はほとんど判っていない。本研究では、比較的成熟した神経細胞に対し、リーリンがどのように作用するかを解析するために、リーリンを添加後4時間培養したマウス初代培養神経細胞で発現が変動する遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、約10種類の遺伝子の発現が変動することが明らかとなった。この中には、蛋白質の発現や局在を制御する可能性が高い分子の遺伝子が含まれており、このような経路を介してリーリンが神経細胞の高次機能を制御している可能性が示唆された。また、成体脳は胎児脳に比べて顕著に大きいので、リーリンが細胞外でどの程度拡散できるのかを知ることが、その機能の理解に必須である。そこでリーリンの膜親和性を生化学的に解析したところ、リーリンは従来考えられていた以上に高い膜親和性を持つことが明らかとなった。この膜親和性は、特定の膜蛋白質を介するものではなく、リーリン自身の脂質結合性によるものであることも示唆された。特に、リーリンは分子中の二カ所で分解を受けることが知られているが、その分解産物の膜親和性が全長のものに比べてかなり弱いことから、この分解は、細胞外での拡散・寿命を制御する機構に一つである可能性が考えられた。
All 2006 2005
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