環境化学物質による脳由来神経栄養因子発現誘導と異常行動との関連性についての研究
Project/Area Number |
17659035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Environmental pharmacy
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
津田 正明 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (80132736)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | BDNF / デルタメトリン / バルプロ酸 / 自閉症 / GABA / てんかん / ニューロン / 遺伝子発現 / ピレスロイド系殺虫剤 / グルフォシネート / ヒストン脱アセチル化 / 多検体スクリーニング |
Research Abstract |
本音度は、興奮性と抑制系のアンバランスが自閉症発症などと関連するという指摘を踏まえ、BDNF発現とGABAレセプターサブユニット発現との関係に注目して解析を進めた。 1.デルタメトリン(DM)の構造活性相関とDMの作用機構の解析;ラット大脳皮質初代神経細胞培養系において、DMなどのタイプIIピレスロイド殺虫剤は脳由来神経栄養因子(BDNF)の顕著な誘導を引き起こす。DMは、GABA_Aレセプターの抑制活性も有しており、興奮性作用が強く出てBDNFの誘導を引き起こしていることが予想された。そこで、DMをもとに化学修飾を行い、構造活性相関の解析を行っている。現在は、特許の関係もあり具体的な説明はできないが、創薬へのシーズの可能性がある。 2.バルプロ酸の影響;バルプロ酸(VPA)は、抗てんかん薬としてよく使われているが、妊婦の常用は自閉症発症の原因になっていることが指摘されている。VPAはBDNF遺伝子の発現誘導を起こすとともに、GABA_Aレセプターγ2サブユニットのmRNA合成を顕著に抑制した。また、クロライドトランスポーターでGABAレセプター活性に影響を与えるKCC2のmRNA発現も低下した。これら事実は、VPA投与で興奮性と抑制性のアンバランスが生じる可能性のあることが予想される。 3.DMによる発現変化;DM投与によってもGABA_Aγ2レセプターmRNAの発現減少が認められた。一方、細胞内へのカルシウム流入でも同様な発現変化が認められた。自閉症患者の3割以上は、幼児期にてんかんを経験しているという統計調査がある。最近、てんかんがNMDAレセプターNR2Aからカルシウム流入を経由してBDNF発現誘導の経路によって引き起こされることが報告された。てんかんと自閉症などとの関連性が考えられる。 以上の事実は、興奮性と抑制性のバランスが興奮性に傾くことに、遺伝子発現レベルの変化が影響を与えている可能性のあることを示している。DMにはその可能性が強く存在する。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)