分子シャペロンによる運動ニューロン疾患治療法の開発-SBMA・ALSを中心に-
Project/Area Number |
17659262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurology
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
道勇 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90293703)
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Project Period (FY) |
2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Keywords | 球脊髄性筋萎縮症 / アンドロゲン受容体 / CAGリピート / トランスジェニックマウス / Hsp90阻害剤 / Hsp70 / GGA / 蛋白分解 |
Research Abstract |
ポリグルタミン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患は、神経細胞内に変異した蛋白が蓄積して病態が形成される。ポリグルタミン病は責任遺伝子のcoding region内のCAGリピートの異常延長によって引き起こされる遺伝性神経変性疾患である。球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人発症の下位運動ニューロン徴候を特徴とする神経変性疾患で、アンドロゲン受容体(AR)のポリグルタミン鎖の異常延長がみられる。我々は、97CAGリピートを有する全長のヒトARを発現するトランスジェニックマウス(Tg)を作成し、Hsp70の高発現によりマウスの運動機能が改善し、核内変異ARの蛋白複合体及びモノマーが減少することを示した。本研究では、ポリグルタミン病を含む神経変性疾患に応用可能な治療を、トランスジェニックマウスや培養細胞を用いてスクリーニングし、臨床応用を目指した。 分子シャペロンであるHsp90は他の分子シャペロン(Hsp70,Hop,p23,p50など)とともに、Hsp90依存性のクライアントタンパク質と複合体を形成し、そのクライアントタンパク質の安定化と機能発現に重要な役割を果たしている。Hsp90阻害剤は,Hsp70やHsp40といった抗ストレス分子シャペロンを非特異的に増加させる薬理作用も持つ。SBMA培養細胞モデルへHsp90阻害剤である17-AAGを投与すると、濃度依存性に変異AR蛋白が著減し、Hsp70やHsp40の発現も増加し、さらに、SBMAモデルマウスへ17-AAGを投与すると、治療群は非治療群に対して、有意に運動機能障害の改善を認めた。これは、Hsp90阻害剤により変異ARの分解が促進された結果と考えられた。また、消化性潰瘍の薬剤である。 geranylgeranylacetone (GGA)には、マウスや細胞レベルで分子シャペロンの発現を増加させる作用が確認されており、GGAもTgに投与すると、分子シャペロンの発現増加がみられ、運動機能障害の改善効果がみられた。このような、分子シャペロンやユビキチン・プロテアソームシステムを活性化する方法は、ポリグルタミン病の枠を超えて、臨床医学に寄与することができる治療法と考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)