Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
粉体を下部からの送風で流動化させた固気流動層は比重や粘度など液体に類似した性質を持つ。従って、層内に比重の異なる物体を投入すると、固気流動層の見掛け比重よりも小さな比重の物体は浮揚し、大きな比重の物体は沈降するために、比重の異なる物体の分離が可能となる。本研究の最終年度である平成18年度は、本技術の実用化に向けて低コスト化を計るために、安価な砂を流動化粉体として用い、分離効率の検討を行った。用いた砂の粒径範囲は100〜600マイクロメートルと広く、平均粒径は260マイクロメートルである。一般的に、粒径の異なる粒子を混合して流動化させると、粒径の大きな粒子が下方に、粒径の小さな粒子が上方に偏析する現象が起こる。用いた砂の粒径範囲は広く偏析が起こると予想されたため、この偏析と分離効率の関係を求めることを主目的として実験を行った。その結果、砂を流動化させる送風の速度が比較的大きい場合は偏析が起こらず、流動層の高さ方向で見掛け比重がほぼ均一になり、安定した物体浮沈が起こり高い分離効率が得られた。一方、送風の速度を減少させるにつれて粒径の大きな粒子の下方での偏析が見られ始め、下方の見掛け比重が上方とは異なる様相を呈し、最少流動化速度近傍の低風速では、流動層全体が偏析状態となり、幅広い比重の物体が浮き沈みせず流動層内を漂った。以上の結果、安定した物体浮沈を得るためには比較的粒径の揃った粉体を用いるべきであることが示唆されるが、コスト面では粒径範囲の広い砂の使用が適しているため、偏析が起こらず安定した物体浮沈が生じる最適な送風速度の採用が本技術の実用化に向けた必須条件と言える。
All 2006
All Journal Article (2 results)
粉体工学会誌 第43巻第8号
Pages: 567-576
10017666172
粉体工学会誌 第43巻第4号
Pages: 260-269
10018137554