Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究課題の目的は,音場再現システムにおいて,再生室内の環境が変化した場合でも高品質な再現音を保持する方法を提案することにある.科学研究費交付期間内においては,逆フィルタの観点から上記目的の達成を目指す. 本年度はまず,前年度に得られた知見を元に,インパルス応答の温度補正処理の更なる改良と高速化を行った.まず,インパルス応答そのものの伸縮処理において,時間領域信号の分割数と計算量,補正制度の関係を明らかにした.さらにこの高速化の考えを適応的温度補正処理のアルゴリズムにも適用できることを見出し,適応システムに実装した.その結果,伸縮処理に必要なパラメータの導出も高速に推定できることがわかり,音場再現システムにおける温度補正処理を大幅に高速化できることがわかった. 次に,室内伝達系の変動に対するロバスト化として,変動に応じて各制御点の制御帯域を切り替える方式を見出し,数値計算により検討を行った.その結果,制御点の配置関係と各周波数における不安定性の関係を適切に見極めることにより,音の再現制度の劣化を相当に抑制することができた.本方式では,適応のための計算量が少なくて済むことから,大規模な音場再現システムの実現に大きく寄与するものと考えられる. さらに,温度補正処理と逆フィルタ緩和処理の統合に関する基礎検討を行った.これまでは各アルゴリズムを直列に処理していたが,今回は観測信号に応じてどちらか一方のみの処理を行うことができるよう,各処理のスイッチングの導入を試みた.その結果,従来の直列処理よりも高品質に音を提示できる見込みがあることがわかった.
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