Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、再生医療への応用が期待されているES細胞の未分化維持機構・分化制御系の解析を目的として、新規のモデルマトリックス分子の創成と応用を検討した。これまで、細胞-細胞間接着分子であるE-カドヘリンを固定化が可能なモデルマトリックスとして作製し、細胞の接着基質として応用することで、ES細胞を効率よく維持できることを発見しているが、本研究では、E-カドヘリンモデルマトリックス上で培養した細胞のより詳細な機能解析を行った。マウスES細胞の他に、マウス胚性奇形腫細胞であるF9細胞、イヌ腎臓由来のMDCK細胞を用いて、細胞の種類による差異を検討した。未分化な細胞であるES細胞やF9細胞は、E-カドヘリン固定表面上では互いに分散するが、上皮系の分化した細胞であるMDCK細胞やES細胞から分化を誘導した細胞では分散活性を示さず、この違いの要因として、細胞内シグナルの活性化に違いが見られた。また、細胞表面のタンパク質を架橋することによって、E-カドヘリンと相互作用しているタンパク質の有無を検討した結果、未分化な細胞ではE-カドヘリンと密接に相互作用している分子の存在が示唆された。これらの結果より、未分化な細胞と分化した細胞では、E-カドヘリンを介する接着を制御するメカニズムが異なること、またE-カドヘリンと相互作用するタンパク質を介した新たなシグナル系の存在が示唆された。さらに、ES細胞の培養法の改善のために、マウスES細胞の維持に不可欠であるLIF (leukemia inhibitory factor)のモデル分子を作製し、E-カドヘリンとLIFを共固定した表面を用いて、ES細胞の新規培養法への応用性を検討した。その結果、共固定することにより低濃度の固定化LIFでもES細胞の培養維持が可能であることが示された。今後は、LIFの固定化シグナルのさらなる検討、また霊長類ES細胞を視野に入れた新規培養法の確立を試みる。
All 2007 2006 2005
All Journal Article (10 results) Book (1 results)
PLoS ONE 1
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ティッシュエンジニアリング2005
Pages: 77-83