Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
イアホンを用いた従来の補聴器は,ハウリングが発生しやすいために,高音域では十分な音響利得を得るのが困難であり,また,補聴器使用時における外耳道の閉塞感を取り除くことができないという根本的な問題を抱えている.そこで近年,イアホンを用いず,鼓膜や耳小骨を,圧電素子や,コイルと磁石を組み合わせたアクチュエータによって直接加振するタイプの補聴器が開発されている.しかし,高音域での出力が不十分なことや,埋め込みの際に侵襲を伴うことから,広く実用化されるまでには至っていない. そこで我々は,これらの問題に対し,イヤホンを用いず,非侵襲かつ高音域での高利得を実現する新しい補聴システムとして,鼓膜に留置したコイルに交流電流が流れた際に,コイル内部に生じた磁界と,外耳道内に固定した永久磁石の磁界との相互作用により,コイルに耳小骨を加振する力が生じ,その加振力によって補聴効果を得るという全く新しい駆動方式を提案し,試作を行った.この補聴システムは,埋め込みの際,全く侵襲を伴わず,装着が容易という利点を持っている. 本年度は,ヒトに対しての補聴効果を明らかにするため,亡くなったヒトの頭蓋骨から取り出した側頭骨に試作した補聴システムを装着して駆動させた際の耳小骨の変位振幅をレーザードップラ振動計により計測することで,音響利得を評価した.なお,国内では倫理・制度上の問題から,ヒトの頭蓋骨を用いた実験を行うことが困難であるため,実験は米国のMassachusetts Eye and Ear Infirmaryの協力の下に行った.計測の結果,音響利得は0.1-6.0kHzの周波数領域において20 dB SPL以上となり,他の補聴器と比較して,高音域においても高利得が得られることが明らかとなった.
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