Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2007: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
骨格筋は非荷重や安静・固定など刺激減少,不活動により速やかに萎縮することが知られているが,近年,不活動によって対象筋のみならず離れた部位・組織に痛覚過敏が生じ,長期間持続することが報告されている。不活動による筋萎縮ならびに痛覚過敏に対する伸張刺激はじめ理学療の効果については不明な点が多い。そこで,最終年度である平成19年度には,筋萎縮や慢性痛の予防,治療法の開発からメカニズムを探るべく,不活動モデル動物を用いて,筋障害に対して理学療法で頻繁に行われる運動療法(伸張刺激,運動負荷)と温熱療法の影響について組織学的,行動学的に調べた。マウスを後肢懸垂のみ,または後肢懸垂にそれぞれ足関節背屈位,底屈位でギプス固定し,2週間後に前脛骨筋とヒラメ筋を剖出し組織学的に観察した。結果,特に短縮位で固定された筋の筋湿重量と筋線維横断面積が有意に減少し,特にタイプI線維よりもタイプII線維において著明であったことから,筋萎縮は非荷重のみならず伸張性の欠如によっても促進され,ギプス固定というphasic contractionを阻害されることで速筋に有意な萎縮変化をもたらすことが明らかとなった。一方,2週間の後肢懸垂とギプス固定を行った不活動モデルに対し,不活動前に温熱刺激またはトレッドミル走行を2時間負荷し,痛覚過敏や筋萎縮の進行抑制"先取り効果"について,ヒラメ筋の組織学的解析ならびに後肢足底皮膚の痛覚閾値をもとに調べた。その結果,2週間の不活動により,ヒラメ筋の筋線維直径,タイプI線維比率,筋線維あたりの毛細血管数,足底の痛覚閾値のすべてにおいて低値を示したのに対し,不活動前に温熱刺激または運動負荷を行った群ではそれらはすべて高値を示した。このことより,神経損傷を伴わない不動化により筋萎縮はもとより筋以外の広範な組織に痛覚過敏をも呈すること,また温熱療法や運動療法によってそれらを改善しうる先取り効果をもたらすことができる可能性が示唆された。
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