Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,前頭連合野を活性化するために,前頭連合野の主要な機能であるワーキングメモリと目的指向的行動を基盤にし,個人によってカスタマイズ可能なリハビリテーション開発することである.このリハビリを前頭連合野に障害がある患者が実施することで,目的に向けた記憶や行動の組織化といった実生活に密着した経験が可能となり,スムーズな家庭及び職場復帰に寄与すると考えられる. 本研究目的のために,平成17年度は,目的指向的自己選択課題を作成した.平成18年度は,本課題の有効性を明らかにするため,目的指向的自己選択課題を,遅延再生,流暢性,逆唱など前頭連合野機能の低下を示す患者13名に対して1回30分,週2回,3ヶ月間実施し,本課題を行わないコントロール群と比較検討することで,効果検証を行った.訓練効果は,Mini-mental states examination,長谷川式簡易知能検査(HDS-R),前頭葉機能検査(FAB),語の流暢性,逆唱などの検査及びNMスケール,行動観察による日常生活評価で検証した.その結果,HDS-R, FABの得点,流暢性など多くの点で改善が見られた.NMスケールからは,日常生活における記憶,見当識,関心にも改善が見られ,参加した患者も「言われることにピンときやすくなった」と記憶の改善を示唆する発言のほか「他人に腹が立たずおおらかになった気がする」と情動面の変化を述べる者もおり,認知,記憶,情動といった前頭連合野の機能の改善が示唆された.このように,本研究によって前頭連合野の機能改善が促されるトレーニングの開発に至ったことが明らかになりつつある.しかし,今後MRIやSPECT画像を用い,脳の形態的,機能的側面から変化や効果に関する検討を加え,障害脳部位と効果の関連性を,患者の行動特徴を踏まえながら明らかにしたいと考えている.
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