Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Research Abstract |
高血圧などの心臓への負担増大による病的心肥大や加齢による心血管系の機能低下は,心臓の単位面積当たりの毛細血管数が減少する。有酸素性運動は,その改善効果がある。しかしながら,このような運動効果の機序にどのような分子レベルの調節が関与するのかは解明されていない。本研究は,運動に対する心血管系の適応機構,特に血管新生に関して,どのような分子レベルの調節が関与するのかを検討することにより,運動効果の分子機序を解明することを目的とした。本研究にて,21カ月齢の老齢ラットに8週間(5日/週,90分/日)の水泳トレーニングを実施した(23ヶ月齢)。また,その間安静飼育した同月齢のラットを対照群とした。一方,4カ月齢ラットを若齢群として用いた。心エコーおよび心カテーテル法により加齢による心機能の低下を確認した。老齢期からのトレーニングは,加齢による単位面積当たりの総毛細血管数の22%低下を13%改善した。心筋細胞当たりの毛細血管数の比は,加齢により低下したが,トレーニングで改善した。さらに,血管新生に関与するVascular endothelial growth factor (VEGF)のmRNA及びprotein発現は,加齢により低下したが,トレーニングにより改善した(Iemitsu M et al., 2006)。また,VEGF受容体であるFlt-1およびFlf-1のmRNA,protein発現もVEGFと同様に変化していた。VEGF調節因子である,Aktおよび内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)タンパク活性は加齢により低下したが,トレーニングにより改善した。以上より,老齢期からのトレーニングは,加齢による心臓の血管新生能低下を改善し,その改善のメカニズムにVEGFシグナルカスケードによる分子レベルでの改善が関与している可能性が考えられた。
|