流域スケールへの適用に向けた大気-森林動態モデルの開発
Project/Area Number |
17710002
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Environmental dynamic analysis
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸田 求 Hokkaido University, 低温科学研究所, 学術研究員 (40374649)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2007: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Keywords | 環境変動 / 大気-生物圏相互作用 / 生態系モデリング / 森林動態 / 気象学 / 生物圏現象 |
Research Abstract |
平成19年度、申請者はそれまでに開発を進めてきた大気-森林動態モデルを用いた数値実験を進めてきた。落葉針葉樹林を対象に、温度上昇や大気C02濃度の増加が森林群落の純一次生産量(NPP)、生態系純生産量(NEP)および森林動態に及ぼす影響に関する気候変化実験がその一つであった。そこでは、3-5℃の気温上昇における高CO2の影響は樹木成長を高め、群落全体のNPP、NEPが現在の気候条件で得られた結果よりも増加し、森林生態系は炭素吸収源としての機能を高める可能性があることを示した。これはすでに論文化された。これを流域スケールでの水・炭素循環の再現と将来の気候変化に伴うこれらの予測を行うため、亜寒帯域を対象とした数値実験を行った。その結果、気候変化(温度上昇とC02上昇)に伴い樹木成長が高まるが、寒冷圏土壌からの炭素放出量もまた増大し、森林生態系全体の炭素吸収機能は現在と比べて低下する可能性のあることが示唆された。しかし、これは土壌炭素動態の取り扱いに敏感であり、この検討が将来の寒冷陸域生態系における炭素動態を定量的に評価するためには重要であることがわかった。更なる詳細な解析を行い、本年度に投稿される見通しである。 別の数値実験では、森林を形成する各樹木個体の生態的機能としての葉群構造の違いが、群落内の競争過程や森林の現存量、NPPを決定する重要な要因であることを示した。葉群構造、すなわち、一樹木個体あたりの葉面積密度の鉛直分布が群落下部に集中しているタイプや上部に集中しているタイプで構成される森林群落では、群落内の小個体の生存を可能とする光環境が生まれ、その結果樹木個体間の競争が弱くなる。その場合には、樹木個体間の競争一密度効果によって生じる最終的な群落全体的現存量が最大になることを示した。一方で、葉群が上下方向に均一に分布したタイプの個体で形成される森林群落では、群落内の光環境が悪く小個体が生存していくためには厳しい光環境条件を生み出す。その結果、個体間の競争は厳しくなる。この条件のときに、最終的な群落全体的現存量は最小になることがわかった。さらに、この数値シミュレーションから得られる厳しい個体間競争を呈する葉群条件を示す変数値が、実際の森林群落で得られることがわかった。このことは、その森林がより厳しい個体間競争の元で形成されていることを示唆している。この内容に関する論文は現在すでに投稿中である。
|
Report
(3 results)
Research Products
(3 results)