Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
基板上に原料となる金属などの物質を含むガスを流し、そこに収束した粒子線や電子線を照射することでビームを当てた所にのみ局所的に所望の物質を蒸着する手法を収束イオンビーム化学気相成長(FIB-CVD)または、電子線誘起蒸着(EBID)という。 これらの手法は既にいくつかのグループによって研究されており、リソグラフィーで用いられるマスクの局所的な補修や、電界放射銃のチップへの応用の試みなどがなされている。しかし、この手法によってナノ構造を作製するには、電子線によって分解し、かつ適度な蒸気圧を持つ原料ガスが必要であり、任意の物質によってナノ構造を作製することは困難である。本研においては、粒子線による研磨と組みあわせることで、電子線誘起蒸着では適切な原料ガスが存在しないために作製困難な物質によるナノ構造作製を目的とする。 具体的には、基板に対して作製したい形状を電子線誘起蒸着によってナノマスクとして蒸着し、それを粒子線により研磨することで、あらゆる物質での名の構造の作成をこれまでにないサイズで実現する。平成19年度は、ヘテロ構造をもった基板に対して本手法を用いることで微小サイズの2重障壁共鳴トンネルダイオード構造(DB-RTD)を作製し、AFMによってその伝導特性を評価した。基板はGaAs(100)に対して、MBEでAlAs層を作製し、7nmのGaAs井戸と、13MLのAlAsバリアを作製した。得られた構造のサイズは、最小で約50nmであった。 得られた構造に対して、AFMを用いてI-V特性を測定した結果、DB-RTDに特徴的な非線形な振る舞いが観察され、本手法を用いたナノ構造作製が、ナノデバイス作製にも有効であることが示された。
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