Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は、18世紀後半のロンドンにおける文化多元主義思想の勃興とその衰退の過程を、同じ時期に生じていたキリスト教の相対化の動きと関連づけて解明することにあり、本年度は最終年度に当たる。本年はWilliam Blakeが1800年以降に製作した作品群に、なぜ、異教的な要素が頻出するのか、を考察した。18世紀英国において、キリスト教中心主義の立場をとり、異教をキリスト教の堕落した形態とみなし、一神教的体系化を地球規模で行うという試みが、Jacob BryantやWilliam Jonesによってなされていたことを明らかにした。この研究成果の一部を「すべての道はバビロンに通ず一英国18世紀の誤読」と題して『江戸文学』に発表した。William Blakeも同じように、キリスト教と異教とを統合する試みを、MiltonとJerusalemにおいて行ったが、Blakeのキリスト教においては、異教的な要素は排斥されるものではなく、キリスト教を補完する役割を担う。異端審問と異教の迫害に見られるように、キリスト教が失ってしまった他者との共存の可能性を、Blakeは異教として斥けられてきたものから取り出し、それをブレイク独自のキリスト教の中に組み込んだ。この過程を"Blake and Neoplatonism Reconsidered"と題してまとめ、イギリスにおいて開催された国際学会で発表した。
All 2007 2006
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江戸文学 36
Pages: 129-132
神戸大学文学部紀要 第34巻(印刷中)
110006684695
神戸大学文学部紀要 第33巻(印刷中)
110006684668