Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
研究の最終年度にあたる19年度は、過去2年の成果を補完する作業にあたりました。具体的には、非文学的であり、極めて上演的であったコンメティア・デッラルテの俳優による文学活動、出版活動について調査を進めました。とりわけ、詩人としても活躍した女優イザベッラ・アンドレイーニの文学性および、その出版における文学戦略について考察を進め、1610年代から30年代にかけて、俳優による出版活動が盛んであったのは、彼女の影響が多大であったことを突き止めました。イザベッラの夫で、自身俳優でもあったフランチェスコ・アンドレイーニと友人で座長であったフラミニオ・スカーラの二人が、イザベッラの死後、彼女のテクストを編纂・出版するのですがその後この二人は、自らの劇の素材も続々と出版していきます。またフランチェスコとイザベッラの長男で俳優のジャンバッティスタ・アンドレイーニは、20年代以降、数多くの戯曲や、聖職者から俳優に向けられた非難に対する弁明の書を刊行していきます。こうした動きに呼応して、ジャンバッティスタやスカーラの劇団で活躍していた他の俳優たちも筆をとり、様々なジャンルの文芸作品を刊行することになります。一見煩雑でまとまりのない俳優たちの出版活動が、イザベッラ・アンドレイーニの死を契機としていること。また、2次的3次的に彼女に関わった俳優という限られた人脈の中で発生した現象であることを解明しました。今後は、その出版活動を大きく(1)テクスト自体の分析(2)出版活動という戦略、の2点に分けて、さらに研究を進めていくつもりです。
All 2007 2006 2005
All Journal Article (2 results) Presentation (1 results)
美学芸術学 第22号
Pages: 22-37
40015418377
京都外国語大学 研究論叢 LXV号
Pages: 133-147
110001276125