Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成19年度の主な研究実績の一つは、ヘブライ語で書かれたマカーマート文学において最も重要なユダヤ人作家であるイェフダ・アルハリージ(12〜13世紀)によるマカーマート『タハケモニ』の分析である。『タハケモニ』には実に多くの写本が存在するが、大きく分けて、2つのバージョンに分類することができるということを明らかにした。そのうちの1つのバージョンは、3つの写本(パリ写本、ケンブリッジ写本、モスクワ写本)でしか残っていないが、実はこのバージョンこそが、『タハケモニ』の初期の段階における形を反映していることを突き止めた。これらの研究成果は、2008年6月30日〜7月3日の間、オランダのフローニンゲン大学で開催される第5回中世ヘブライ文学国際ワークショップにおいて発表する予定である。また、本研究と並行する形で進めている『タハケモニ』の学術的校訂版(初期のバージョンに基づく)の出版計画であるが、2008年2月末より共同研究者のヨセフ・ヤハロム教授(エルサレム・ヘブライ大学)を客員研究員として京都大学大学院人間・環境学研究科に受け入れていることもあり、出版に向けてかなり前進することができた。さらに、マカーマートを含む中世ヘブライ文学のテキストにおいてしばしば用いられている、ギリシャ語、アラビア語、ラテン語、シリア語といった外来語の使用についての研究成果を、オランダ・フローニンゲン大学のファン・ベークム教授と共著で国際的学術誌に掲載した。
All 2007
All Journal Article (1 results)
European Journal of Jewish Studies 1
Pages: 417-425