戦後台湾社会における「日本語人」の文化活動およびその影響に関する研究
Project/Area Number |
17720075
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Literatures/Literary theories in other countries and areas
|
Research Institution | Kyushu University (2007) Ritsumeikan University (2005-2006) |
Principal Investigator |
李 郁惠 Kyushu University, 高等教育開発推進センター, 准教授 (80399071)
|
Project Period (FY) |
2005 – 2007
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 台湾 / 日本語人 / 日本精神 / 日本人 / 国民性 / 日本語文学 / 日本人論 / 日本:台湾 / 植民地統治 / 日本語能力 |
Research Abstract |
本年度は研究出張を2回ほど利用し、台湾の研究機関や成功大学等が主催した会議や研究ゼミに出席し,最新の研究動向や資料について情報を得たほか、それ以外にも現地の大学や図書館等に赴き,これまでの研究活動をまとめて成果発表するのに必要な中国語文献や資料を精力的に収集した。現在、「日本精神」をキーワードに据えて台湾の「日本語人」世代の特徴的な活動を解明しようとする論文の投稿準備を行っている段階である。まだ正式に活字になっているわけではないが、論文の概要を簡単に次のように述べておく。 まず、問題意識として、台湾の「日本語人」世代の間には「日本精神」という言葉に対する、愛着に近いものがあることを提示した。同世代の著書や作品などからその具体的な使用例を丹念にひろいあげていきながら、いくつかの大きな特徴をまとめてみた。中でも、そこには「清廉」「潔白」「正義」「責任」などモラル的な解釈へ集中しているというのが最も興味深い。つまり戦時中、神道崇拝や戦意昂揚のために大いに宣伝された皇室国家本位のファシズム的な名残は少しばかり見えるものの、一般に日本の国民性を論ずる領域の中へと微調整している。一方、いわゆる西洋側の角度からよく指摘されているような、きわめて私的で叙情的なものとも一線を画しているように思われる。「日本精神」になぜそのような余韻が聞こえていたかを、「日本語人」世代が経験してきた戦前の学校教育や戦後の台湾事情に基づいて分析した。同時に、その余韻を日常生活の中で次世代へ語り継げていくことでどのような影響を及ぼしたか、「多桑(父さん)」という1994年に台湾の呉念真監督製作の映画を例に説明してみた。
|
Report
(3 results)
Research Products
(3 results)