Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究では,小学校における英語教育の展開を見据え,日本人小学生に必要な英語語彙の新しい基準として,コーパスに基づく「KUBEE1850」という英語語彙表を開発した。近年,コーパス準拠の語彙表開発は決して珍しくないが,KUBEEの特徴は,日本人小学生というユーザー属性をふまえ,英語と日本語からなる独自の複合コンポーネント型コーパスを構築し,そこから得られた頻度データを活用して語彙選定を行ったことにある。 英語コーパスについては,児童の語彙受容と語彙産出の両面に配慮し,(1)英米の児童文学,(2)米国の小学校教材,(3)日本の中学校英語科教科書,(4)英国のローティーンの発話という4種類のデータ(145万語)を収集・整備した。日本語コーパスは,(1)日本の小学校教科書(全科)と,(2)小学生による日本語作文から構築した(20万語)。最後に,英語コーパスに基づく基本語リスト(ベースリスト)と,日本語コーパスに基づく対訳基本語リスト(補完リスト)を照合し,補完リストにのみ現れた語をベースリストに追加して,最終的に約1,850語からなる語彙表を得た。 KUBEEには,これまでの児童用語彙表にはなかった「生活語」「感情関連語」「日本文化関連語」などが豊富に収録されている。これらの多くは日本人児童を中核とする周縁環境の語彙であり,児童が英語で自然なコミュニケーションを行う上でとくに有用性の高い語彙と言える。 本研究により,児童学習者を対象とする重要語選定における新しい方法論を確立・提示することができた。また,KUBEEの全データはインターネットで公開しており,研究者のみならず,小学校をはじめとした指導現場で注目・活用されている。今後はさらにデータの精選を行うと同時に,KUBEEに基づく学習教材の開発を行う予定である。
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